5年目の楽天藤平尚真投手(22)が約1年ぶりとなる1軍戦登板を果たし、2回無安打3奪三振2四球無失点と好投した。最速は151キロを計測した。

1点リードの6回から2番手で登板。高卒2年目の水上とバッテリーを組んだ。先頭桑原を148キロの直球で三ゴロ、森は150キロの直球で空振り三振。関根を歩かせるも、代打戸柱を133キロの内角スライダーで空振り三振に仕留めた。

2イニング目の7回は先頭細川に四球も田部を三ゴロ、伊藤裕を二直、代打山本を145キロ直球で空振り三振。「課題はまだありますけど、公式戦じゃないですけど、ゼロで帰ってくることができて良かったです」と汗をぬぐった。44球中36球で直球を投じ「自分のアピールポイントは待ってても打てないような真っすぐ。1軍の打者に対して投げてみないと分からないところもあった。今日は打者がストレートを待っている時でも真っすぐでしっかりさせていたので、すごく良かったです」と手応えを示した。

1軍登板は昨年7月26日オリックス戦以来。先発も7球で危険球退場となっていた。今季はファームで先発登板を重ねるも、思うような投球ができず、ファーム首脳陣からの提案で永井怜育成投手コーチと5月下旬から1カ月間、ミニキャンプを行った。実戦を離れ、一から見なした。多い時はブルペンで400球の投げ込みを行った後、ネットスローで体に動きを染みつかせた。

「コーチの方に協力していただいて、自分の感覚をしっかり出すまで一回試合から離れて練習しようと言っていただいた。公式戦がある中で自分は本当に情けないな、と思いましたが、内容は自分でもあまり満足していないですけど、1軍のマウンドである程度は投げ込めたので、本当にいい機会をいただいたなと思います」と感謝した。

石井GM兼監督も「彼が5年前に求めていた現在地とはちょっと違うかもしれないですけど、ただ決してここからブレークすることができないわけじゃないし、球の能力が落ちているわけでもない。」と期待を込める。

ドラフト1位の早川隆久投手をはじめ、同世代の大卒投手がプロの世界に入ってきた。指揮官は「同い年が入ってきて、頑張らなきゃいけないなというのは感じていると思う。でもそれを焦りに変えてほしくない。まだまだ彼には時間があるんじゃないかなと僕は思う。突貫工事のピッチングにならずに30歳の自分の立ち位置を想像しながらしっかりやってほしいなと思います」とスケールの大きな投手への飛躍を願う。

藤平は現状、より高いレベルの投球を求めるために、ファームでもリリーフでの登板機会を与えられている。「僕も5年目で投げたい場所とかそういうのはなしに、後半戦、チームのためにどんな場所でも自分が投げるところを与えてもらえたら、しっかり投げようと思いますし、本当にチームが勝つために全力で頑張りたいと思います」。1年目に3勝、2年目に4勝を挙げるも、ここ2年は未勝利。花開く時を待つ大器が、地道に汗を流し続ける。