広島の守護神栗林良吏投手(25)が、新人では史上7人目となる20セーブを達成した。ヤクルト戦で1点リードの9回に登板し、3者凡退で締めた。侍ジャパンの守護神として東京五輪で2勝3セーブを挙げて金メダル獲得に貢献。本拠地での凱旋(がいせん)試合でも安定感を示し、チームに2連勝を呼び込んだ。永川1軍投手コーチが持つ球団新人記録の25セーブを射程圏内に捉えた。

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栗林が貫禄を示した。5-4の9回に満を持して登場。サンタナ、元山を宝刀フォークで連続三振に仕留め、最後は代打川端をカーブで捕ゴロ。3者凡退と完璧な形で、逆転勝利の最後を締めくくった。「リリーフの投手がゼロでつないでくれた結果、僕に回ってきたので、この思いを無駄にしないように、先頭から集中していこうと思いました」とお立ち台で汗を拭った。

プロ初登板の3月27日中日戦から積み重ねてきたセーブ数は「20」に到達した。プロ野球の新人では、史上7人目となる快挙だ。右腕は「今日で20という意識もなかった。全然何も考えずにマウンドに上がりました」と冷静だった。プロ入り後の成長について「最初の頃に比べると、走者を出しても慌てることなく落ち着いて投げられている。プロの生活に慣れてきたかなと思います」と胸を張った。

「心の入れ替え」が快投につながっている。ホームでは「グラウンドを出る時には切り替えます。妻も家で待っていますし、打たれて悪い気持ちで帰ってもいいことはないので」。ビジターの場合は、午前0時でリセットするという。「12時までは考えて、それ以降は切り替える。(元中日の)井端さんがそれをやっていると言っていたので、自分もそれをやろうと思いました」。心と頭のスイッチが、功を奏している。

栗林だけにとどまらず、侍戦士が本拠地凱旋(がいせん)試合で躍動した。4点ビハインドの6回、先頭の菊池涼が反撃ののろしを上げる8号ソロを放ち、その後連打でつなぎ1点差に迫った無死一、二塁からは鈴木誠が左前へ同点適時打を放った。同じく侍戦士のヤクルト村上に2打席連発を浴びたが、カープ勢も黙っていなかった。

球団新人で20セーブは03年に25セーブを挙げた永川(現1軍投手コーチ)以来2人目。栗林は「25は目標にしてきた数字。自分がセーブを挙げているということは、それだけチームも勝っているということ。1つでも多く登板数、セーブを挙げていきたい」と力を込めた。鯉の絶対的守護使として、新たな偉業へ腕を振り抜いていく。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督「栗林がいなかったらゾッとする。こういう試合を取っていけるのは栗林のおかげ。五輪で疲れがありながらも、間が空いて連投になりましたけど、しっかりと投げてくれた。大きいですね」

▽広島森浦(球団新人最多タイ7ホールド)「プレッシャーがいつも以上にかかる場面(1点差の8回)だったので、ゼロに抑えることができて良かった」

▽広島永川投手コーチ(栗林の20Sに)「すごく安定しているし、今のところ言うことないですね。(セーブ数は)チームがどれだけ勝てるかで変わってくるけど、いい準備をしてブルペンから送り出せるようにしたい」