最後まで耐えた。オリックス山本由伸投手(23)がタカ打線を8回3安打1失点に封じ、リーグ単独トップの12勝目を挙げた。

前回対戦した8月27日ソフトバンク戦(京セラドーム大阪)では9回4安打完封勝利。今回は「より丁寧に。その意識でマウンドに立ってました。(8回に)1回、追いつかれてしまったんですけど、勝ち切れた。最高です!」

我慢の先に待っていたのは、歓喜だった。同点に追いつかれた直後の9回2死一、二塁。山本はベンチで「残り試合も少ない。1つの勝敗がすごく影響する。とにかく1点を…」と祈った。ジョーンズが決勝打となる中前適時打を放つと、両拳を突き上げて叫んだ。

最近一番喜んだニュースは「オリックスが首位に立ったこと!」と声を弾ませる23歳。純粋な“遊び心”が、成長を生む。岡山県備前市で過ごした幼少期は「野球と友達。その2つが大好きでした」と、実家が隣接する頓宮家の庭で友人たちと「ゴムボール野球」に打ち込んだ。「あのボールって、空気抵抗とか、回転方向を考えて投げないといけない。曲がり過ぎたり、浮き上がったり」と指先に繊細な感覚を覚えさせた。そんな放課後の楽しみがマウンドで生きている。

中嶋監督は取材を受ける山本を見て「エースの風格がだいぶありますから!」と笑顔で声を張った。山本は球団では10年に13連勝した金子千以来の9連勝。チームは14年以来7年ぶりのリーグ最速50勝に到達。背番号18は「1歩ずつ、着実に優勝に近づいていけたら」と力強い。96年から24年間、かすんでいた頂上が、うっすらと見えてきた。【真柴健】

▽オリックス平野佳(NPB360人目となる1000投球回到達)「まだまだ厳しい戦いが続く。1つでも多く勝っていけるようにみんなで頑張っていきたい」

▼通算1000投球回=平野佳(オリックス) 3日のソフトバンク18回戦(ペイペイドーム)の9回、デスパイネを三振に仕留めて達成。プロ野球360人目。初投球回は06年3月30日の楽天3回戦(フルスタ宮城)。578試合目で到達は、93年鹿取(西武)の581試合に次ぐ2位のスロー記録。