もがいた末に、やっと勝った。巨人戸郷翔征投手(21)が、7回5安打無失点の好投で、3カ月ぶりの白星を挙げた。「やっと眠れそうです。やっと笑顔になりました。3カ月ずっと真顔やったんで」と安堵(あんど)した。

1回からヤマ場を迎えた。先頭の安部に左前打を許した。2試合連続で1回に3失点中とあって、嫌な記憶が脳裏に浮かんだ。「(動揺は)だいぶしました。また同じ流れになるんじゃないかと。でもあそこで1つ、良いきっかけをつかみました」と続く小園を投ゴロ併殺に仕留めてピンチの芽を摘んだ。4回2死満塁では、菊池涼を151キロ直球で空振り三振。試合を通じて、「すごく良い真っすぐを投げられた。やっぱり真っすぐが良いとフォークも生きる」とシーズン途中から直球の球威増に取り組んできた成果を見せた。

勝てない3カ月間、ひたすら迷った。「初めての体験だったので、きつかった。何をしたら勝てるんやって、ずっと迷ってました」。セットポジションの形を試合中に変更したりと、模索を続けてきた。たどり着いた先にあった1つの解決策は「無の境地」だった。援護をもらうと、勝ちがチラつくことも。「考えすぎた。今思うとダメだったと思います」と断じた。

長いトンネルを抜け、8試合ぶりの白星は自己最多タイの9勝目となった。「悩む時期の方が多かったので、その分、この1勝を糧にして10勝目、11勝目、12勝目とチームのために腕を振っていけたら」。ぐっすり眠って、また笑いたい。【小早川宗一郎】

▽巨人原監督(戸郷について)「これを機会にパパンッといってほしいね。今後(あと)1勝で10勝でしょう。これから大事なゲームが多くなってきますから。さらにいってほしいね」