西武の劇的逆転勝利を呼び込んだのはプロ20年目のベテラン中村剛也内野手だった。

2点を追う9回。先頭の森が11号ソロで1点差。勢いづくと中村が、この試合4本目となる中前打を放ち、後ろへ託した。犠打と2四球で満塁から、外崎の同点犠飛、岸の勝ち越し適時打。チームの連敗が4でストップした。中村の4安打は16年3月29日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)以来5年半ぶり。同じ場所、同じ相手に記録した中村は「(4安打は)良かったです。9回は先頭の(森)友哉がホームランで1点差にしてくれたので、何とか塁にでようと考えて打席に入りました。最後もいい形で逆転をできたと思うので、このいい流れで(明日以降も)戦っていきたいと思います」と冷静に受け止めた。

この試合の4本は、いずれもシングルヒット。4回には先頭から出塁し一時逆転の呼び水となり、5回も突き放すつなぎの1本となった。7回にも先頭から出て、得点機を演出。大振りの1発を狙うのではなく、チーム打撃に徹する4番の姿に、辻発彦監督は「若い選手のお手本となるような追い込まれてからコンパクトに打ってつなぐ気持ちでバッティングをしてくれる」と脱帽。さらに「これだけ400本以上ホームラン打っているバッターがそういうことをするわけだから、山川とかが見習っていかないといけないだろうし」と話した。

その山川が、29日の試合はスタメンから外れた。この試合では4四球とボールを選ぶ姿勢に、辻監督は「きょうなんかは山川は打てなくてもフォアボールを選んだのはチームへの貢献は大きいと思うので、こういう野球をしていかないと勝てないということだと思う。フォアボールを選ぶことから打撃の調子も良くなって行くと思うので、山川としてはよかった」と、希代のアーチスト2人の相乗効果を期待していた。