帰ってきた主砲が、一振りで試合の流れを変えた。広島鈴木誠也外野手(27)が、両軍無得点の5回、1死満塁で迎えた第3打席。カウント1-2からの4球目、大野雄の内寄り147キロ直球をノーステップのコンパクトスイングで打ち砕いた。打球はバックスクリーン左へ。自己最多を更新する33号は試合の均衡を破る満塁弾となった。

「玉村が頑張っていたので、いい形で援護することが出来て良かった」

序盤の好機で凡退した借りを、一気に返した。初回1死一、二塁の第1打席では空振り三振。3回1死満塁の第2打席は、変化球を捉えきれず、一飛に倒れていた。主砲は「2打席チャンスで凡退していたので、何とかという思いだった」と、再び巡ってきた同じシチュエーションで、見事にリベンジを果たした。

蓄積疲労によるコンディション不良とみられる影響で、3日のヤクルト戦を欠場。中日戦も2試合連続ベンチスタートで、代打のみの出場となっていた。「チームに迷惑をかけていたので。出られなくてフラストレーションもたまってました」。4試合ぶりのスタメン復帰戦で結果を残し、チームを2連勝に導いた。

打率3割2分1厘で、首位打者をキープした。ただ、「結果取れたらいいですけど、僕は首位打者を取るようなタイプじゃない。得点圏で打てる方が魅力がありますし、そこを求めてやっている」と言い切る。「(巨人岡本)和真とか、(ヤクルト村上)宗とか、ああいうタイプはうらやましい。勝負強さは試合を見ていてもやっぱりすごいなと思うので、僕だったらああいう打者を目指したい」と、心の内を明かした。

主砲の1発でチームは2連勝を飾り、9月9日以来の4位に浮上した。残り15試合に向け「なるべく欠場しないように、しっかりとしたコンディションでやりたい」と引き締めた。チームファーストの精神で、シーズン最後まで打線をけん引する。【古財稜明】