オリックス宗佑磨外野手(25)の放物線を見届けたオリックスファンは、歓喜の再現を確信したはずだ。背番号6がまたやってのけた。

0-1の6回1死一塁だ。ロッテ岩下の浮いたフォークを完璧にとらえる。打球はぐんぐん伸びて右翼へ。右手を突き上げ、ベンチに戻るとナインと跳びはねながら何度もハイタッチを交わした。

「一発でしとめられてよかった。後ろにはマサさん(吉田正)がいましたし、何とか走者を進めて、塁に置いた状態で回そうと思っていました。最高の結果になって、めちゃくちゃうれしいです」

ベンチに座ると少し目をうるませた。これも「あの時」と同じだ。

10月12日、同じ京セラドーム大阪でのロッテ戦。8回にAクラス入りを確定させる劇的な同点2ランを放っていた。悔しさ、感激。試合中にもかかわらず、ベンチで涙をこぼした。オリックス躍進のシーズンを象徴するシーンになった。

勝負勘がさえた。岩下とは今季6打数無安打。「初めてですよね? こまごましたことをせずに積極的にいこうと思っていました」。右腕は直前に簡単な治療を受けてマウンドに戻った。その初球を狙いすました。実は前日11日も、ロッテ先発美馬が負傷交代した直後の初球に、杉本が決勝2ランを打ち込んでいた。

小田の一打が一塁線を抜けると喜びを爆発させた。

「全員で最後まであきらめずに食らいついていった結果です。興奮しすぎて、ちょっと信じられないですね。ここまで来たら何が何でも日本一になってやるという気持ちです。向こうもそうだと思うので、いい戦いをしたいです」

オリックスが日本一になった96年に生まれた25歳。最高の勢いをつけて、初の大舞台へ、若武者が飛び込む。【柏原誠】