あの男が、本格的な冬を間近に控えた北国を熱くした。日本ハム新庄剛志監督(49)が11月30日、「ファンフェスティバル2021」で、日本ハムの一員として、15年ぶりに本拠地札幌ドームに戻って来た。監督就任後、初めてファンの前に姿を現し、歓声を浴びた。暗転した会場の中、真っ白のランボルギーニのカウンタックに乗って登場すると、スポットライトの下「北海道に帰って来ました!」と絶叫した。

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暗転した札幌ドームに突然、危険を知らせるサイレンが鳴り響いた。大型スクリーンに明滅した赤い「ATTENTION」の文字が「BIGBOSS」に変わると、日本ハム新庄監督が左翼側のフェンスから、真っ白いランボルギーニのカウンタックに乗って、さっそうと登場した。

ゆっくり車を走らせアリーナ中央に止めると、スポットライトを浴びながらマイクを握り「15年ぶりに北海道に帰って来ました!」と、右手の人さし指を天に掲げた。

新庄 暴れても、いいですか? 感動させても、いいですか? かわいい選手たちと、泣き笑いさせてもいいですか? 来年から僕が舵(かじ)を取り、かわいい選手たちと長い船旅に出掛けます。かわいい選手たちと一緒に、船に皆さん、乗ってくれるのであれば、目いっぱいの拍手をお願いします! 北海道の皆さん、日本中の皆さん、かわいい選手たちと一緒に、船に乗ってくれますか?

演出がひらめいたのは1週間前。「カウンタックの白を探して、もし赤だったらフェラーリで行こうと。雪をイメージして登場したかったんで。実はあの車、タイガース時代に乗っていたので、運転も簡単にできた。エンストだけは避けようと。格好悪いので(笑い)」。日本ハムの一員としては、日本一となった06年、感動の胴上げで宙を舞って以来の札幌ドーム。「とにかく、プロ野球を何とか変えたい」。緊張とワクワクで胸いっぱいになりながら、10分間の“ワンマンライブ”を終えた。

若い選手が多く、成長途上のチームを「ボロい船」に例えた。「強いチームじゃない。シーズン中は、いろいろなことがある。船が壊れ始めたり、嵐の時は、皆で壊れた場所を直しながらゴールにたどり着こうという思い」と、指揮官としての覚悟をにじませた。

約1万8000人の前で、こう叫んだ。「来年から、ヒーローは僕じゃありません! かわいい選手たちと、皆です!」。新たに始まる“新庄劇場”を、野球ファンは待っている。【中島宙恵】

◆新庄監督とランボルギーニ イタリアが誇る自動車メーカー「ランボルギーニ」は、新庄監督が愛してやまないスポーツカーの名門ブランドだ。小学校1年生の頃から同社の名車種カウンタックにあこがれ、阪神入団4年目の93年、カウンタックで登場。95年オフの契約更改交渉には、ランボルギーニ・チータで乗りつけた。排気量5000CCというスーパー4輪駆動車の見た目はまるで戦車で、居合わせた報道陣を驚かせた。また、同じイタリアの「フェラーリ」乗車歴も長い。名車360モデナなど、日本ハムの選手時代は赤のフェラーリをさっそうと乗りこなした。