ロッテ国吉佑樹投手(30)にとって、人生が大きく動く1年になった。6月14日、入団12年目を迎えていたDeNAからのトレードが発表された。

「環境も変わりましたし、想像してたシーズンとは全く違うシーズンになった…というか想像できないですけど、こういうケースは。振り返ればいいシーズンだったかなと思います」

左脇腹の痛みを抱えながらの新天地。コンディションを戻してから、五輪中断期間中に1軍に合流し、後半戦からは「7回の男」に定着。25試合で2勝2セーブ17ホールド、防御率1・44。リリーフ唐川の故障離脱で苦しい台所事情の中、救世主になった。

全てがうまくいったわけではない。「抑えた試合より、良くなかった時の方が、僕は印象に残りますね」とし、11月6日のCS楽天戦(ZOZOマリン)を挙げた。打者5人に3四球。自身の失策も重なり3失点。チームは勝ったが、不安を残す登板になった。

トレーナーらの意見も聞きながら、全体の動きを微修正。「悪かったところをしっかり夜見直して、しっかり次の日に修正できたのは良かったかと思います」。翌7日に打者2人をしっかり抑えると、同12日のCSファイナル・オリックス戦でも役目を果たした。

働きぶりは「沢村に重なる」とも言われた。レッドソックス沢村拓一投手(33)は昨季9月、巨人からロッテに電撃移籍。150キロ台の剛球とスプリットで、チームの2位躍進に貢献した。国吉は「沢村さんはすごく実績があるし、僕と一緒にされたら沢村さんに失礼かなと思ってるんですけど…」と恐縮しながら「そういう意図をもってロッテに来たと思っているので」と奮起し、後半戦を投げ抜いた。

この2年、ロッテのトレードや補強が活発になり、いずれも成功している。予期せず当事者となった国吉の目にも「去年の沢村さんだったり、今年なら僕とか加藤とか、エチェバリアとかもそうですけど、補強ポイントを的確に補っている印象は去年からありました」と映っていた。

国吉は脇腹痛で2軍から入ったが、沢村は移籍当日にいきなり大事な場面で投げた。井口監督も「いいから取っているので、すぐ使いますよ」と迷いがなかった。これを意気に感じるのか。国吉は「やりやすい環境を、どんどん用意してくれているなというのはすごいありますね」と話す。

入団時にはパ・リーグについて「すごい選手が多いですし、かわしていくような投球だとたぶん通用しないなという印象です」と話していたが、実際に投げてみると「セとパの違いはどうですかって聞かれますけど、そこまで感じてないですね」という結論だ。オフもやるべきことは同じ。

「同じことが来年もできるとは限らないので」

ホッとせず、大きな体を動かす。【金子真仁】