2022年のスター候補は君だ! 12球団の担当記者がブレークを予感する選手たちを紹介する恒例企画を、今年もお届けします。

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西武の「よくばり君」に期待せずにはいられない。渡部健人内野手(22)は、ドラフト1位で入団した1年目の今季、イースタン・リーグで19本塁打、64打点で打撃2冠を獲得。1軍では1本塁打も、ファームで自信と課題を積み上げた1年だった。

体重112キロで、おかわり3世と言われたあんこ形の体形から繰り出すパワーは、新人離れしていた。それに加え愛嬌(あいきょう)のある顔で、ニコニコしながらみんなをなごませる。体も丸みをおびているが、空気感もまろやか。契約更改の会見でも休日の話に及び「(午前)10時に起きてまだ寝られるなとなって寝て(午後)3時に起きて『あ、今日1日もったいねーな』と思いながらまた寝ていますね」と笑わせた。

すでに選手寮を出て1人暮らしを始め、悩みはある。「自炊するんすけど、まずいッス…。野菜炒めとかつくってもホントにまずいッス」。自炊用に調理器具はそろえた。野菜も買った。塩こしょうは? 「あるッス」。味の素は? 「あるッス」。ちゃんと炒めてる? 「はい。でも、まずいッス」となかなか料理の腕前は上達しないが、「その分、食べる量も抑えられるからいいッス」と逆手にとってダイエット。自宅では体重増を抑えるため、食事の量を制限しながらオフを過ごしている。

プロ野球選手として、その潜在能力はまだまだ十分に発揮し切れていない。秋季練習では破壊力のある打球を飛ばしていた。来季、新人王の資格も残っている。「キャンプに向けて、打つ方も投げる方も走り込みも、しっかり万全を期していきたいなと思っています」。その大きな体には、伸びしろがギッシリとつまっている。【栗田成芳】

◆渡部健人(わたなべ・けんと)1998年(平10)12月26日、神奈川県生まれ。横浜商大高から1年冬に日本ウェルネスに転校。桐蔭横浜大で通算45本塁打。20年ドラフト1位で西武入団。21年は2軍で本塁打、打点の2冠。176センチ、112キロ。右投げ右打ち。