年末恒例の「言葉の力」を、今年もお届けします。担当記者たちの心に響いたアスリートたちの言葉で、2021年を振り返りましょう。セ・リーグ編(1)です。

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DeNA今永「ぼうっと1点見つめて、たまに降りるはずの高速を間違えたり、乗るはずの入り口を逆に行ったり」(2月24日、左肩のリハビリで練習場に通う車中を振り返り。苦労がしのばれた=斎藤直樹)

 

阪神佐藤輝「十分だったので、ちょっとバットを投げちゃいました。場外という意味では初めてかもしれない。しっかり当たれば、あそこまで飛ぶなというのは分かりました」(4月9日DeNA戦で横浜スタジアム右中間へ場外弾となる3号ソロを放ち=石橋隆雄)

 

ヤクルト青木「プロ野球って競争社会ですから、生き残っていくために打たなきゃいけない。そういう気持ちで毎日やっていた。この1本がなければ先に進めなかったというのがたくさんあった」(5月26日、史上4人目の日米通算2500安打を達成。結果を求める貪欲さを感じた=湯本勝大)

 

阪神大山「勝てば全員の勝利、負ければ全部自分の責任だと思ってやっています」(6月7日、主将4番の両肩には早くも16年ぶりV奪回への重圧がのしかかっていた=佐井陽介)

 

阪神佐藤輝「いいよ、いいよ。やめて!」(6月13日楽天戦に訪れた宮城在住の祖父勲さんが、試合前練習中にスタンド最前列まで近づき、茶封筒に入れた小遣いを渡されそうになり、照れ笑いして手を振りながら断った=石橋隆雄)

 

阪神矢野監督「感動しています。苦しかったですけどね。本当に1人1人が…。ちょっと待ってください。(5、6秒の沈黙後)全員の気持ちだと思います」(7月12日DeNA戦、0-3の9回2死から4者連続適時打。最後は大山のサヨナラ打で指揮官の涙腺が崩壊=桝井聡)

 

DeNA坂本「直属の幼稚園の先輩がやられていたので、やり返したかった」(7月13日、阪神戦で3勝目。前日に周船寺第二幼稚園の先輩三嶋がサヨナラ負け。かたきを取った=斎藤直樹)

 

巨人菅野「どうしていいか分からない時期もあったけど、誰もが順調に野球人生を最後まで歩めるわけじゃない。それが今、来たんだと自分自身に言い聞かせて現実を受け止めてやってきた」(9月1日、負傷やコンディション不良で東京五輪を辞退など、苦しんだ期間を経て4カ月半ぶりに白星=小早川宗一郎)

 

巨人原監督「私自身の用兵のミスというかね。そういうものが同点になったのかなと深く反省しますね」(9月5日、甲子園での阪神戦。6点リードの6回守備から疲労を考慮して坂本をベンチに下げると追いつかれドロー。自ら反省の弁を切り出した=浜本卓也)

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巨人阿部作戦兼ディフェンスチーフコーチ「1球も振るな。見てこい」(9月16日、不振で2軍戦で再調整中だった中田翔への指示。この日は2打席連発弾を含む3安打で迎えた4打席目に向かう前に耳元でささやいた=為田聡史)

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