2年目のジンクス吹き飛ばす。広島栗林良吏投手(25)が13日、古巣トヨタスポーツセンターでの自主トレを公開した。昨季は新人最多タイのセーブ記録を残し、新人王を獲得した。セーブ失敗ゼロの守護神は今オフ、下半身強化と制球力向上で、“失敗しない男”であり続ける。

歯を食いしばりながら200メートルの坂道を5セット走り切った。昨季新人王の栗林は明確な目的を持って、プロ初のオフを過ごしている。昨季終了後、初めて下半身の強化に着手。年内はノースローで調整した。10日から古巣トヨタスポーツセンターで自主トレを本格始動。下半身強化を継続しながら、徐々に調整の段階を上げている。

「今年は自分で考えながら練習することで、やろうという気持ちにもなりますし、そこに責任も出る。知識も入れようとするので、勉強しながらできている」

投球の土台を鍛える重要性を感じた。シーズン中から先輩大瀬良が下半身を鍛える姿を見てきた、また、50代まで現役を続けた元中日山本昌氏とテレビ番組で共演した際に「下半身をけがしないピッチャーが長生きできる」と言われた言葉も胸に刺さった。筋トレに加え、動きの中でバランスを意識したメニューも取り入れる。ランニングメニューや敏しょう性を高めるメニューも組み込んでいる。再開したばかりのキャッチボールから「自分のイメージ通りのラインは出せている。傾斜とか入ってきたら分からないけど、いいと思います」と一定の手応えを口にする。課題に挙げた制球力向上にもつながる好感触も得ている。

先月には第1子となる長女を授かった。オフの間も部屋を借りて家族で過ごす。「ミルクをあげるのが好きです。3人で生活できて、いい時間を過ごせています」。精神面の充実が質の高いトレーニングにつながっている。

昨季は新人最多タイの37セーブを記録し、セーブ失敗は1度もなかった。昨季セのセーブ王スアレスが米大リーグ・パドレスへ移籍。防御率0点台でセーブ王となれば、横浜佐々木、西武豊田に次ぎ、3人目となる。「3人目は記憶に残らないので駄目ですね」と笑いながらも「みんなから0点台とか、セーブ失敗なしは無理だよって言われるので、いい意味で期待を裏切って2年連続でできたら」。シーズンに向けて万全の準備をすることで、周囲が口にする“2年目のジンクス”も振り払うことができるはずだ。【前原淳】