阪神矢野燿大監督(53)が19日、サイン盗み騒動について語った。

この日の監督会議では昨季のサイン盗み騒動に関連してアンフェアな情報入手、紛らわしい行為の禁止、ヤジを慎むなどが議題に上った。オンラインで同会議に参加した矢野監督は「球団の方からもう1回そういうのを確認するようにって、NPBの方に言ってもらって」と阪神球団の働きかけもあったと明かした。

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発端は昨年7月6日のヤクルト-阪神戦(神宮)だった。5回2死一、二塁で二塁走者、近本の左手の動きにヤクルトの三塁手・村上が審判にアピール。両軍ベンチが言い合いになり、両監督が審判団の前で考えをぶつける騒動になった。同監督は約半年ぶりに騒動について言及。「選手たちにも言っているけど、子どもたちの手本でいようっていうチームでサイン盗んで勝ってさ、そんなんで子どもの手本になると全く思ってない。そんなんして勝ちたいと思ってない。これで勝ってもうれしくない。やるわけないし、絶対にやってない」と改めて主張した。

指揮官は「俺の立場としては、チームの名誉と選手の名誉を守る立場にあるから」とも語った。騒動についてはSNSなどでの個人攻撃や誹謗(ひぼう)中傷も続いている現状がある。なかには臆測の発言もあって看過できない部分もあった。矢野監督は「名前を出された外国人選手に通訳通して確認とったけど『絶対にやってない』って。そこの確認も、もう1回ね、再確認とってそういう話をさせてもらっている」と騒動後の経緯も語った。

騒動では両軍ベンチが言い合いになった場面もクローズアップされた。矢野監督は「俺個人が攻められるのはいいと思う。俺があれに対して反応して。俺の中では絶対にやっていないことを言われることがめちゃくちゃ腹立つわけよ。俺らがやるわけないし、しかもそれを近本が疑われること自体がもちろんあり得ないことだし、それに対して反応したけど。もちろん冷静になったら分かるんだよ。でも冷静じゃない。真剣勝負の中で戦う上では」と当時を振り返った。

12球団の監督が顔を合わせる場で行われたフェアプレーについての再確認。矢野監督は「いつまでも言われて選手が疑われる、チームが疑われるということがない中で、全員、正々堂々と2022年を迎えたいというのがあった。どっかで俺も線引きたい。絶対やっていないというのを、みんなにちゃんと宣言した中で、12球団でそうやってもう1度再確認できたので良かった」とその意義を語った。

▽谷本修球団副社長 (セ・リーグの)杵渕統括も『サイン盗みがあったとは全く思っていないが』とおっしゃっていましたし、まずもって前提がそこにあるわけですけど、そういう部分が飛んでしまって紛らわしい行為があったということが1人歩きしてしまって『そんなことやっているのか』となってしまっていた。これはセ・リーグの名誉も傷ついて、しこりが残ったまま今シーズンに臨むのが嫌だったので、はっきりさせませんかという話をさせていただいたということです。