ソフトバンク杉山一樹投手(24)が「やり投げトレ」で開幕ローテを目指す。

今オフ、陸上のやり投げで12年ロンドン五輪代表のディーン元気(30)と、10種競技で12年ロンドン&16年リオ五輪に出場した右代啓祐(35)と合同トレ。伝授された練習法を参考に、平均球速アップを期す。19日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けたが、2度のPCR検査で陰性を確認。29日から福岡・筑後市のファーム施設で自主トレを再開し、臨戦態勢を整えた。

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開幕ローテーション入りを狙う杉山に、大きな出会いがあった。このオフは東京都内のトレーニング施設などで自主トレ。昨年末にディーン元気、右代啓祐の両オリンピアンと接する機会があった。その際、やり投げ選手が取り入れる、メディシンボールなどを使った練習法を伝授された。

腹筋の使い方を重視するという「やり投げトレ」に1月以降も取り組んできた。野球とは全く違う競技だが、「野球のボールより重いやりを、あれだけ遠くに飛ばしながら、ケガもしない。それが140グラムのボールになった時に、もっとしっかり操れる」と明かす。

スケジュールが合わず、実際のやりを投げる機会はなかったが「大まかなところは共通しているので、ほとんど参考になった」と手応え。投球につながるプラス要素が大きいメリットを感じている。同じ「投げる」ことを追究するスペシャリストから、大きなヒントをもらったようだ。

昨季はプロ初勝利を含む2勝をマーク。先発枠奪取へ、狙うは平均球速のアップだ。最速は160キロを誇る一方で、昨年の平均は約152キロだったという。「マックスは参考にならない。平均を上げていきたい。速ければ速いほど武器になる」と、常時150キロ台後半を出すことが理想だ。

19日に新型コロナの陽性判定を受けたが、保健所指示の待機期間を終え、2度のPCR検査で陰性を確認。この日から筑後市のファーム施設で自主トレを再開した。「今年は4年目なんで。より一層、覚悟を持ってやりたい」と気合十分だ。

今年はグラブに「潰れてからが筋トレ」という言葉を刻んだ。自主トレ先でトレーニングをともにする機会があった、ボディビル日本一の横川尚隆(27)から授かったメッセージに「響きました」と心を揺さぶられた。刻んだ名言のように、つぶれるほどの覚悟でローテ争いを勝ち抜く。【山本大地】

◆ディーン元気(げんき)1991年(平3)12月30日、神戸市生まれ。やり投げは市尼崎で始め、早大進学後の10年に日本選手権3位。12年ロンドン五輪では決勝に進出し、全体10位だった。182センチ、88キロ。

◆右代啓祐(うしろ・けいすけ)1986年(昭61)7月24日、北海道江別市生まれ。札幌第一高3年で8種競技を始める。五輪には12年ロンドン大会に10種競技で日本人48年ぶり出場し、16年リオ大会では開会式で日本選手団旗手を務めた。196センチ、95キロ。