ロッテA組(1軍)は14日、1次キャンプ地の石垣島から沖縄本島へ移動した。15日から本島南部の糸満市を拠点に、2次キャンプを行う。他球団との練習試合を中心に6日間の日程を過ごし、その後宮崎県内での練習試合へ向かう。

【関連記事】ロッテニュース一覧

糸満市の担当者たちは14日、最終の受け入れ準備に追われた。会場の西崎運動公園内には200本を超えるノボリが設置された。同市観光・スポーツ振興課の新垣行則課長は話す。

「30年前のキャンプでは歓迎のノボリみたいなのはなかったですからね」

オリックスが89年から92年まで、公園内の西崎球場で春季キャンプを行った。NPB球団のキャンプは、実に30年ぶりの開催となる。

1次キャンプ地の石垣島は、今年こそ天気に恵まれなかったものの、本島よりも温暖でアスリートが体を早く作れる利点がある。1、2軍が同敷地内で練習できるのも大きい。一方で、対外試合が難しい。台湾球団もキャンプを張っていたが、ここ2年はコロナ禍で来日を見送っている。

実戦のために沖縄本島に遠征するものの、全てがビジターの試合になる。練習環境を本島内に求めていた中で、糸満市での2次キャンプが決まった。

ただ、30年前とは事情が違う。「何もなかった」(新垣課長)という球場一塁側の場外に、沖縄西海岸道路とも呼ばれる国道331号バイパスが21世紀初頭に開通した。ネット裏には場外への防球ネットがなく、一塁側のネットも低い。左打者が豪快に引っ張ってファウルにすると、硬球が交通量の多い道路に届いてしまう危険性があった。

甲子園でも有名な沖縄水産高、糸満高など野球も盛んな地区ながら、そんな事情からアマ野球でも公式戦の実施が久しくできずにいた。かねて防球ネットの必要性が叫ばれていた中で、ロッテの2次キャンプの話が浮上。20メートル級のネットが今年中に完成する予定となっている。

今回の2次キャンプではA組の全体練習が行われるのは16日のみ。残り5日程は、対外試合に登板しない投手らが練習を行う。防球ネットがなく、練習内容にも制限がかかるものの、市側は公園敷地の半分以上を立ち入り禁止にし、不測の打球事故を防ぐ方針だ。「コロナ感染予防の意味もあります」と新垣課長。選手とファンの導線を明確に分けながら、来年以降への方策を検討する。

ブルペンは4人分のみで、現時点では室内練習場もない。限られた環境にはなるものの、試合以外での運動量や技術練習のペースを落とさないためにも、糸満での2次キャンプ開催は意義が大きい。【金子真仁】