西武ドラフト1位隅田知一郎投手(22=西日本工大)の対外試合デビューは3回4安打1失点だった。ただ、数字以上に内容が詰まる。三振は4つ。特にピンチの場面で、変化球で三振を取れるすべが光った。

【関連記事】西武ニュース一覧

象徴的だったのは2回2死二、三塁で平沢から見逃し三振を取った場面。「たぶんバッターは頭にない球」。カウント2-2からのウイニングショットは、高めのスライダーだった。

抜けたのでない。狙って投げた球は、高めのボールゾーンから変化大きく曲がり落ちる。きれいにストライクゾーンに吸い込まれた。平沢も予想を完全に外し、まったく反応させなかった。ストライクからボールになる決め球だけでなく、その逆の引き出しも示した。隅田は「軌道としてはイメージ通りに投げられた」とした上で「もう1個低く投げられたら、多少振ってこられても打たれない」と細部にこだわった。

高めの変化球が生きるのは、低めの変化球がしっかり脅威となってこそ。1回2死二塁では、低めのスプリットで山口を空振り三振に仕留めた。ワンバウンドも、キレがあった。

隅田は「どの球種も手応えはあった。まだまだ状態も上がる。今は結果にこだわるのではなく、いい点、悪い点を出すことをテーマにやっている」と振り返った。辻監督も「マウンド度胸がある。バタバタせず変化球を投げられた」とうなずいた。残り2つの三振はカットボール。変化球をコントロール自在に操り、どの球も勝負球にできる。4球団競合左腕たる理由が詰まった62球だった。【上田悠太】

▽西武豊田投手コーチ(隅田について)「しっかりゾーンの中で勝負をできていた。これからは長いイニングを投げる体力をつけて、球の精度も上げていってほしい」