日本野球機構(NPB)が26日、試合中にロッテ佐々木朗希投手(20)に詰め寄った白井一行審判員(44)の行為について「別の方法があった」と見解を示した。井原敦事務局長がオンラインで取材に応じ、明らかにした。物議を醸した24日のオリックス-ロッテ6回戦(京セラドーム大阪)での騒動について、試合後に審判団が友寄審判長を含めて検証。白井審判員は検証結果の指摘を受けて理解を示したといい、NPBは今後、処分は行わない。

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物議を醸した試合から2日後、NPBが検証を踏まえて見解を示した。井原事務局長は開口一番「24日の試合以降、多くのお叱りのご意見含め、さまざまなご意見を目にしております。当日の状況含めて審判長の方にも確認をしております」と切り出した。

高卒3年目、20歳の佐々木朗に対し、白井審判員が詰め寄った一件。同事務局長は、友寄審判長が「今回の場合は別の方法で対応するべきだった」と指摘したことを明かし、白井審判員については「当該審判の方もそれについて、深く理解をしたということを聞いております」と説明した。

24日の試合では、2回2死一塁から佐々木朗がボール判定を受けた際の態度に対して、白井球審がマウンドへ詰め寄り、硬い表情で声をかけていた。試合途中、控え審判から連絡を受けた友寄審判長が、試合後に電話で参加した上で当該のシーンを検証。「指導、注意の範囲ではあったけど、その方法は、別の方法がしかるべきだった」(同事務局長)という検証結果に至った。

別の方法について、井原事務局長は一般論とした上で「キャッチャーに伝えるとか、イニング間、そのイニングが終了した後にベンチに伝えるとか、そういった方法。試合後というのもあると思います」と語った。

ただでさえ17イニング連続パーフェクトを継続中で注目された試合。NPBへは批判的な意見が「相当数」寄せられているという。今後の対応については「処分になるような根拠規定というのはありません。何らかの処分をする対象とは考えてない」とした。

 

◆白井球審詰め寄った場面のVTR 24日オリックス戦の2回2死一塁、安達を2球で追い込んだ佐々木朗の3球目がボールと判定された。杉本は二盗に成功。佐々木朗が二塁方向から本塁方向へ向き直った直後、白井球審が厳しい表情で詰め寄りながら言葉をかけると、松川が制止しようと間に入った。試合後、白井球審は「別に話すようなことはないんで」とノーコメント。井口監督は「球審はもっと冷静にやらないといけないと思いますし、当然判定に対しては何も我々は言ってはいけない」と話した。

公認野球規則の8・02審判員の裁定の【原注】には「ボール、ストライクの判定について異議を唱えるためにプレーヤーが守備位置を離れたり(中略)宣告に異議を唱えるために本塁に向かってスタートすれば、警告が発せられる。警告にもかかわらず本塁に近づけば、試合から除かれる」と記されている。

 

◆白井一行(しらい・かずゆき)1977年(昭52)10月3日生まれ。明石高から甲賀総合専門学校を経て97年2月1日にパ・リーグ審判部入局。00年8月8日オリックス-ロッテ18回戦(倉敷)で1軍初ジャッジ(三塁塁審)。昨年9月18日にNPB審判員で98人目、現役では18人目の1500試合出場を達成。昨季を終えて1523試合出場は歴代94位。18年のNPBアワーズでは「審判員の中で最も声が大きい」などの評価で審判員奨励賞を受賞。日本シリーズ出場は14、16、18、21年と4度。審判員袖番号は20。