九共大が7-0の7回コールドで春8連覇を目指した九産大を下し、18年秋以来4年ぶりとなる春秋通算44度目の優勝(春は10年ぶり)を飾った。最終的な勝ち点は決まっていないが、勝ち点が並んだ場合でも、この日の勝利で最高勝率が決まった。最速148キロ右腕、稲川竜汰投手(1年=折尾愛真)が、7回2安打無失点の快投で4勝目。同大学では、広島大瀬良大地投手(30)以来となる1年目の春からの活躍で名門復活に導いた。6月の全日本大学選手権に出場し、7日に仙台6大学代表との初戦に臨む。

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「大瀬良2世」が名門復活に導いた。1年生の稲川は、大一番の先発に「やってやろうと思った」と燃えた。最速148キロ直球を軸に、カーブやスライダーなども駆使して、春8連覇を狙った九産大を翻弄(ほんろう)し、7回2安打無失点。今季4勝目と大活躍で、3度胴上げされ「初めての胴上げで気持ちよかったです」と、入学後の初栄冠をかみしめた。

快投だった。5回まで許した走者は3四球のみでノーヒット。6回2死から、初安打となる右翼線二塁打を浴びた。だが、上原忠監督(54)が「大瀬良は闘志むき出しだったが(稲川は)冷静。正反対」と堂々の投げっぷり。フライアウトが調子のバロメーターといい、この日は12個を積み上げ「球が走っている感覚だった」とキレがあった。

14日夜、大瀬良から上原監督に「稲川君に頑張るよう、(大瀬良のリーグ)通算38勝の記録を抜くよう、伝えてください」という激励メッセージが届いたという。重圧になるとの理由で、試合前に伝えられなかったが、1年春5勝と活躍した大瀬良の期待に応えた。

全国大会に向けて「1勝1勝を積み重ね、日本一を目指したい」。楽しみな怪物ルーキーが現れた。【菊川光一】

○…九産大は、プロ注目の最速151キロ右腕の渡辺翔太投手(4年=北九州)投入も実らなかった。4点を追う4回から3番手で今季5勝のエースを送り込んだ。しかし、7回コールドとなる適時二塁打を浴びるなど3失点。それでも「秋は負けたくない。さらに強くなって、九共大を倒したい」とリベンジを誓った。

◆稲川竜汰(いながわ・りゅうた)2004年(平16)2月25日、山口・周南市生まれ。灘小5で軟式野球を始める。灘中では硬式の岩国ヤングホープスでプレー。中2で捕手から投手に転向。折尾愛真では1年春から登板、秋からエース。3年夏は5回戦敗退。遠投100メートル。182センチ、90キロ。右投げ右打ち。