阪神の強力リリーフ陣が、虎の子の1点を守った。最大のピンチは7回だ。先発西勇の後を受け、無死一、二塁から渡辺が登板。西川に初球で犠打を決められ、1死二、三塁で打席には左の小深田。2球で追い込むと、最後は代名詞の外角へ大きく逃げていくスライダーで空振り三振にねじ伏せ、お役御免となった。

「チームも点を取った直後だったので、その流れをなんとしても切らさないように、自分に与えられた仕事をまっとうしたいと思っていた。しっかり抑えることができて良かったです」

渡辺には期する思いがあった。ソフトバンク時代はパ・リーグ相手に結果を残せず、昨季に戦力外となった。リーグを移して初めて迎える交流戦を前に「パ・リーグで通用しなくて、セ・リーグに来たと思われるのも嫌なので。しっかり抑えて払拭(ふっしょく)できればと思いますし、あんまり投げられなかった悔しさもある。交流戦で投げることで晴らしたい」と本心を打ち明けていた。思いをぶつけ、結果で応えた。

なべじいが引き寄せた流れを最後まで渡さなかった。浅村の打席でアルカンタラを投入。右方向への痛烈な打球を浴びるも、島田の好守も光り、最大の窮地を無失点で切り抜けた。助っ人右腕は「ナベが2アウトを取ってくれたので、最後のバッターにだけ集中することができたよ。島田の好プレーにも助けられて、0で帰ってくることができてよかったね」とホッとした表情を浮かべた。

セットアッパー湯浅も無失点でつなぎ、9回は守護神岩崎が2死一、三塁から浅村に徹底して低めを突き、二ゴロに。必勝リレーで今季初の2試合連続完封。矢野監督は「渡辺もあの場面はすごく緊張も高いですし、ミスもできないような気持ちになると思うんですけど、攻めるピッチングをしてくれました。(西)勇輝を始め、出たピッチャーがね、みんな本当によく踏ん張ってくれた」とねぎらった。20日巨人戦で3失点以下は21試合連続で途切れたものの、鉄壁の投手陣は健在だ。【古財稜明】

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