阪神は今季50試合目にして、自力優勝消滅の危機に立たされた。過去には08年に巨人が球宴前の7月8日に、自力優勝の可能性が消滅したが、首位阪神と最大13ゲーム差をはねかえして逆転優勝を飾った。しかし5月時点で自力V消滅となれば、ペナントレースを制すのは至難の業だ。過去10年の阪神の自力優勝消滅の試合は下記の通り。

 

【12年7月8日巨人戦●2-3(最終5位)】先発安藤が5回途中3失点。9回に4番新井貴、5番新井良の連打で1点を返したが、敵地で宿敵に競り負けた。6連敗で首位巨人に13ゲーム差。左翼席からは数十個のメガホンが投げ込まれた。就任1年目の和田監督は「ここのところ、吹っ切れていない。引きずったような戦いになっている。とにかく、もう甲子園に帰ってやるしかない」と自ら会見を打ち切った。

【13年8月9日中日戦●2-4(最終2位)】苦手のナゴヤドーム(現バンテリンドーム)で4回以降、打線が沈黙。先発大野雄、守護神岩瀬といった左腕を攻略できず。和田監督は「ずっと左にやられているんだよな」。新助っ人コンラッドが4月末に不振で2軍降格。福留、西岡と主力が故障離脱と攻撃力不足に苦しんだ。

【14年8月28日巨人戦●0-4(最終2位)】先発藤浪が4試合連続で初回に失点するなど立ち上がりに苦しみ、5回4失点で7敗目(8勝)。「序盤にあまりにも失点しすぎた。そこが反省。単なる技術不足です」と自身3連敗に反省の弁が並んだ。

【15年9月21日ヤクルト戦●2-5(最終3位)】同点の6回1死満塁で8番大和がスクイズ失敗。その直後に3失点で敗れた。和田監督は「ストライクゾーンだったからな。一発で決めてほしい」と嘆いた。勝てば首位ヤクルトと同率で並ぶ天王山を落とした。

【16年7月8日広島戦●2-8(最終4位)】就任1年目の金本監督は制球に苦しむ藤浪に怒りを隠さず、3点ビハインドの7回にも代打を送らず。「懲罰続投」で、藤浪は8回8失点でプロ最多となる161球を投げた。金本監督は「ストライクが入らず、取りにいって打たれて。何も変わってない。今日は何球投げようが何点取られようが、最後まで投げさせるつもりだった」と話した。

【17年8月3日広島戦△5-5(最終2位)】3点リードの9回に守護神ドリスが3失点で追いつかれた。打線は5回以降、無得点で延長12回ドロー。金本監督は自力V消滅を問われ、「そんなん、別に」と話すにとどめた。

【18年8月1日中日戦●5-8(最終6位)】中日松坂を打ち崩せずに、単独最下位に転落。走塁のミスもあり、勝機を逃した。首位広島と13ゲーム差をつけられ、金本監督は「負の流れに、のまれている気がしますけどね。(自力V消滅は)関係ないよ、別に。あと何試合残っているの?」と語気を強めた。

【19年7月16日中日戦●2-3(最終3位)】同点の9回に小野のサヨナラ押し出し四球で5連敗。首位巨人と11・5差に開き、就任1年目の矢野監督は「俺らじゃなくてマスコミの皆さんが言うこと。そこを考えて毎日プレーするより俺らがどうすれば成長できるか考えてプレーする方がチームのためになる」と自力V消滅にも前を向いた。

【20年9月16日巨人戦●3-6(最終2位)】左腕高橋が5回途中5失点とKOされ、東京ドームで開幕7連敗。巨人に優勝マジック38が点灯。矢野監督は「俺らのやるべきことは、優勝マジックが出たからといって、何も変わることはない。可能性はゼロじゃない」と気にしなかった。

【21年10月8日ヤクルト戦●1-4(最終2位)】27イニング連続無失点と好調の左腕高橋を中5日で投入したが、5回4失点で降板。首位ヤクルトが直接対決を制し、マジック11が点灯。前半戦の快進撃から失速し、矢野監督は「終わったことは変えられない」と受け止めた。