阪神が「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦で逃げ切り勝ちし、一夜にして自力優勝の可能性を復活させた。

3回に4番佐藤輝明内野手(23)が左前適時打で5年ぶりのセ1人勝ちに貢献。「マイナビオールスターゲーム2022」のファン投票第1回中間発表でセ最多得票を獲得し、御礼の一打となった。中継ぎ部門で1位の湯浅京己投手(22)も1回無失点。最下位でもひたむきに応援する虎党の期待に応えた。

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らしくない当たりでもヒットはヒットだ。佐藤輝が貴重な追加点を挙げた。1点リードの3回1死二、三塁。西武与座の内角高め128キロを強振した。打球はふらふら上がり左翼前へぽとり。終わってみれば1点差ゲーム。しぶい適時打で勝利に貢献した。

「捉えた当たりではなかったですが、いいところに落ちてくれました。(先発の西)純矢が頑張ってくれていたので、早いイニングで追加点を取ることができてよかった」。前日には山川の特大アーチに目を丸くした。4番の仕事をまざまざと見せつけられた翌日、泥臭いヒットで面目を保った。5試合連続安打。30打点は大山に並びチームトップ。3ランを放った先輩とともに今季甲子園最多5得点を演出した。

ファンにささげる「御礼打」でもあった。この日の球宴ファン投票第1回中間発表でセ・リーグ最多4万1171票を獲得。「たくさん投票いただいてとても光栄ですし、驚いています」。昨季は最終的に同最多の43万5605票。無数の“声援”が力にならないわけがない。

球宴は祭りであり、学びの場だ。プロ1年目の昨年は広島鈴木誠(現カブス)とノックを受け、オリックス吉田正、ソフトバンク柳田と打撃談議。その吉田正とは自主トレをともにするなど、球宴をきっかけに人脈を拡大させた。第2戦では宮城から本塁打。2年連続出場へ鼻息は荒い。

「メジャーに行かれた鈴木誠也さんとか、いろいろな方とお話をさせてもらってすごく勉強になりました。そういう機会はなかなかないので選ばれたいですし、選んでいただけるようにもっと頑張ります」

最下位と低迷するにもかかわらず、3万人超のファンが甲子園に駆けつけた一戦で、一夜で自力優勝の可能性を復活させた。セ5球団が敗れ、17年以来5年ぶりの「1人勝ち」。6月反攻に背番号8は欠かせない。7月26日から始まる球宴まで、1日でも多く「祭り」を増やす。【中野椋】

▼阪神がセ・リーグ球団中唯一の勝利を挙げた。交流戦が同一日に6試合行われ、セで阪神だけが白星だったのは、05年6月11日、13年5月19日、17年6月10日に続いて5年ぶり4度目。

○…「7回の男」アルカンタラが1回無失点で10ホールド目をマークした。1点差の7回。先頭の山川には右安を許したが、落ち着いて150キロ超の直球中心に山賊打線と真っ向勝負。後続を3人で片付けた。2年目右腕は初めて甲子園のお立ち台に上がり「形はどうあれ3つのアウトを取りたかった。コンディションは非常にいい。これからもいい投球を続けたい。アリガトウゴザイマス」と笑顔で声援に応えた。

○…湯浅が15試合連続無失点でリーグ2位の15ホールド目を手にした。8回に登板。1死一、二塁を背負ったが、代打岸を右飛、愛斗をフォークで空振り三振に仕留め、1点リードを守った。球宴のファン投票の中間発表では中継ぎ部門で堂々の1位を獲得。「うれしいです。自信にもなると思いますし、もっともっとチームに貢献していけるように、目の前の試合を頑張っていきたい」。“御礼投球”で勝利に貢献した。

○…守護神岩崎が1点リードを守り切り、9セーブ目を挙げた。先頭の4番山川は強烈な当たりも三直。続く呉念庭、オグレディを連続三振として3者凡退で締めた。矢野監督は「押されっぱなしで。よく投手が最後粘ってくれた」と鉄壁のリリーフ陣をほめた。5月26日楽天戦で2敗目を喫したが、その後は2戦連続3人斬りと再び安定感抜群の投球を見せている。

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