西武山川穂高内野手(30)が日本人最速ペースで通算200号本塁打を達成した。4回、楽天早川から右中間席への23号ソロで決めた。697試合目での到達は、田淵幸一氏と秋山幸二氏の714試合を17試合上回る日本人最速の記録。さらに6回にも2打席連続の24号ソロで続いた。この試合の全得点を1人で生み出し、チームを今季初の同一カード3連勝に導いた。

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200号は深い右中間へぶっ飛ばした。歴史に名を刻むホームランバッターにふさわしい。山川は見事な逆方向へのアーチをかけた。4回無死。2ストライクと追い込まれていたが、いつも通りに狙うは1発のみ。高めに浮いたチェンジアップを完璧に捉えた。ダイヤモンドを1周し、笑顔で記念のボードを掲げた。

200号は史上113人目。697試合目の達成は日本人選手では最速の記録だ。大卒2年目まで1軍出場は15試合だっただけに「(今)30歳ですよ? ある程度、2軍で打ってますから。そりゃ最初から出ている人よりペースは速いと思いますよ」。特別な感慨こそ少ないが、打ち続けるペースはすさまじい。

なぜ、そんなに本塁打が出るのか? 極めて独特の感覚がある。あくまでイメージの話だが、ボールを捉えるのはバットの「最先端」。芯ではない。しかも側面でなく“ふた”の部分で捉える意識で打席に立つ。

「あれぐらいの感覚でバットを出す感じでいけば、投手のスピードと、バットを出す感覚がちょうど合って、当たりやすいんです」

背景にはバットもある。富士大2年時以降、愛用するのは87センチ、920グラム。一般的なものより、長く重いバットで飛距離を出す。左手薬指と小指をグリップにかけ、目いっぱい長く持つ。しかも山川は体の軸を動かしながら、反動を使い、球を前でさばく。普通の感覚で打てば「間に合わないというか、芯より詰まってしまう」。だからバットの「最先端」で“打つ”感覚でアジャストさせる。そんな独自の形を磨き上げ、今を築いた。

200号の次打席では今季24号、通算201号で自らの祝砲を重ねた。「また1本ずつ積み重ねていけばいいかなとしか思っていないです」。まず今季の目標は本塁打王と打点王。スラッガーの道をもっともっと極めていく。【上田悠太】

○…勝ちパターンの鉄壁救援陣を温存し、今季15度目の完封勝ちをした。8回は本田、9回は森脇で、2点リードを守り切った。防御率0点台の水上、平良、増田の3連投を避けた。先を見据えた起用法で辻監督は「まだまだ(シーズン)半分だからね。暑い中、その3人は変に使いたくない。(森脇と本田も)非常に良かった」と話した。

○…与座が7回4安打無失点の好投で、5勝目をマークした。サブマリン右腕は低めの変化球に、130キロ前後の高め直球を効果的に織り交ぜた。「立ち上がりからすんなりと試合に入ることができた。真っすぐの走りが良かった。チームがいい流れできていたので自分も次につなげたいと思っていました」と納得の表情だった。

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