大学侍でアピールしプロへの扉をこじ開ける。大学日本代表に初選出された苫小牧出身の専大・菊地吏玖(りく)投手(4年=札幌大谷)が、8日開幕の第30回ハーレム・ベースボール・ウイーク(オランダ)に臨む。選考合宿最後の6月20日の紅白戦ではNPB11球団のスカウトの前で自己最速の152キロをマーク。東都大学リーグ2部から24人の精鋭に選ばれた道産子右腕は「大学に入ったときは、夢にも思っていなかった。高いレベルの仲間の中でも、しっかりと自分の力を出し切ってきたい」と意気込んだ。

高校時代、甲子園には届かなかった。3年夏、札幌光星との南大会1回戦は先発し4回まで無失点。3-0リードの状況で降雨ノーゲームとなった。翌日の再試合は9回完投も17安打と打ち込まれ2-9敗戦。「大学に来て、甲子園に出たことで一目置かれることを知った。甲子園に出た選手に絶対負けないという思いでやってきた」。強い野心を糧に、はい上がってきた。

2学年上で専大のエースだったロッテの佐藤奨真投手(23)が6月12日DeNA戦でプロ初勝利を挙げた。2年前、育成4位で入団。今季支配下登録され結果を出した。「2年のとき佐藤さんに『お前もプロに行け』と言われたことが本気で目指すようになったきっかけ。2部でもやれると知った。僕も先輩のように、上の舞台で活躍できる投手になりたい」と刺激にしている。

4日には母校札幌大谷の後輩が南大会初戦を迎える。高校3年生の秋、後輩たちが全道を制し明治神宮大会優勝を遂げた姿を、校内のパブリックビューイングで見ていた。「勝ってくれたうれしさと同時に悔しさも相当だった。でも今は、自分が代表で頑張ることで野球の札幌大谷という名前をもっと売り込んでいけたらと思っている」。後輩たちに負けじと、自慢の直球で三振を量産し「菊地吏玖」の名を、全国に知らしめる。【永野高輔】

◆菊地吏玖(きくち・りく)2000年(平12)6月13日、苫小牧市生まれ。苫小牧拓勇小2年から野球を始め、苫小牧青翔中時代は苫小牧中央BBCでプレー。札幌大谷では背番号1を背負った1年春の全道大会で同高を初優勝に導く。2年夏の南大会4強。3年夏は南大会初戦敗退。高校通算9本塁打。専大では2年秋にリーグ戦初出場し2部最多タイ3勝を挙げ最優秀防御率(0・31)に輝く。今春も東都2部で3勝を挙げ最優秀防御率(1・20)、ベストナイン受賞。家族は両親と妹。183センチ、93キロ。右投げ左打ち。

◆ハーレム・ベースボールウイーク 61年から行われてきたオランダ・ハーレムで開催される野球の国際大会。日本代表は78年の第10回大会で初出場初優勝。最近は主に大学日本代表が出場しており18年の前回大会で4度目の優勝を飾っている。今大会は日本、米国、オランダ、キューバ、イタリア、キュラソー(オランダ領の島)の6チームが参加。日本は8日、日本時間午後10時30分からキュラソーと初戦を行う。