オリックスのドラフト1位、椋木蓮投手(22)がデビュー戦でプロ初白星を手にした。先発して6回を2安打無失点の好投。「ここに来るまで時間がかかったけどファンの皆さんの前で投げられたのが一番よかった」。お立ち台で初々しく喜びを口にした。

初回から153キロの直球を投げ込んだ。「いつも通りの球がいっているなと。不安がなくなり自信もついてきた」。山川にはすべてフォークで3打席とも三振。スライダーの制球もよく計7三振を奪った。0-0の6回に3点の援護をもらい、94球で交代した。

ドラフト2週間後の昨年10月25日。東北福祉大がある仙台市でオリックス戦を生観戦した。山本が完封し、優勝をたぐり寄せたシーズン最終戦だ。「ものすごい風格で熱気が伝わってくきた。格別だった」。魂の投球に心を奪われた。プロ生活の原点だった。

だがキャンプで左脇腹を痛め、つまずいた。「僕はドラフト1位の投手ではないんじゃないか」。自信を失いかけた。大学4年間は主に救援で活躍。4月下旬に復帰したが先発を任された。「先発ってどう投げたらいいんだろうと…(笑い)。1週間に1回しか投げないので月日が経つのが早くて。焦りがあった」。

5月31日の2軍広島戦。地元山口で5回6失点で敗れた。観戦した両親に「出直してあと1カ月くらい2軍で頑張る」と告げた。そしてこの日、両親の姿が球場にあった。「約1カ月後にここに招待できたのでよかった。育ててくれてありがとうと言いたいです」。

連敗を2で止める孝行息子の登場に、中嶋監督も「堂々とした素晴らしい投球」と絶賛。椋木は「最後まで1軍に残って少しでも貢献できるように頑張る」と高らかに宣言した。【柏原誠】

▼ルーキー椋木が初登板初先発で白星。新人の初登板初勝利は今年の隅田、佐藤(ともに西武)がいるが、オリックスでは18年田嶋以来、13人目(1リーグ時代4人、2リーグ制後9人目)。椋木は6回無失点。デビュー戦で先発6回以上を投げて無失点の新人は、今年の隅田(7回無失点)もいるが、オリックスでは球団史上初めて。

◆椋木蓮(むくのき・れん)2000年(平12)1月22日生まれ、山口県出身。高川学園2年夏に甲子園出場も、1回戦で履正社に敗退。東北福祉大を経て21年ドラフト1位でオリックス入り。今季ウエスタン・リーグでは8試合に登板し4勝3敗、防御率3・59。フレッシュオールスターへの出場も決まっている。179センチ、83キロ。右投げ右打ち。

 

○…杉本が椋木の力投に応えた。6回1死一、二塁から右翼線に先制の二塁打。同点でも降板濃厚だったが、なんとか勝ち投手の権利をプレゼントした。7回にも2点左前打で突き放した。お立ち台で椋木と肩を組み「ルーキーが重圧のかかる中、いい投球をしてくれていた。何とか勝ち星をつけたかった」と充実の表情だった。

【関連記事】オリックスニュース一覧