阪神近本光司外野手(27)が、名誉挽回の好守で勝利に貢献した。

2点リードの5回無死一、二塁。バットの先に当たったDeNA嶺井の飛球が、フラフラと中前に上がった。近本は迷わずチャージし、右腕を伸ばした。芝生まであと数十センチ…。最後はヘッドスライディングでがっちり捕球した。二塁走者が飛び出しており、併殺も完成。抜けていれば一塁走者もかえり、同点となっていた可能性がある。ピンチを摘んだビッグプレーに「(飛び込む)勇気も必要だし、イメージも必要。微妙なところだった。いい自主練をしていて良かった」と笑顔。積み重ねてきた日々の鍛錬をここ一番で発揮した。

汚名返上だった。20日の敵地広島戦では、“らしくない”ミスもあった。中堅左への平凡な飛球を落球。敗戦につながり、唇をかんでいた。「前、やらかしちゃったので、なんとしても捕りたい。捕らないといけないと思って必死にくらいつきました」。21年のゴールデングラブ賞外野手はプレーで名誉を取り返した。

矢野監督も「2打点以上のもの(価値)がある。しぶとく食らいついて、よく捕ってくれた。ダブルプレーまで取ってくれて本当に大きい。球場のムードも変わった。すべてが大きかった」と陰のヒーローに称賛を重ねた。

打っては中押しのタイムリーも放った。1点リードの3回1死二塁。今永から右前に適時打を決めた。攻守で輝いた背番号5。お立ち台では広島戦での失策の場面に触れ「すみませんでした!」と謝罪も忘れなかった。ファンの記憶も、この日の好プレーで上書きされただろう。【前山慎治】

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