井川再来の無双ピッチだ。阪神伊藤将司投手(26)が破竹の甲子園9連勝を飾った。

DeNA打線相手に7回を代打細川のソロ1点に抑え、自身の連勝を6に伸ばす今季7勝目。昨年から続く甲子園9連勝は、球団では03年から04年にかけて白星を重ねた左腕エースの井川慶以来の快挙だ。お立ち台では「最高です! ありがとうございます。ファンのおかげです!」と後押ししてくれた虎党に感謝した。

「今日は本当に守備のおかげで勝てました」。好守を連発したバックにも感謝した。4回先頭桑原の一塁線の打球には一塁で初スタメンのロドリゲスが体を投げ出すように飛びつきアウトにしてくれた。5回無死一、二塁では嶺井の中前に落ちるかと思われた打球を近本がダイビングキャッチ。飛び出していた二塁走者もアウトで併殺。いずれも安打になれば試合展開が大きく変わるところだった。

2日前の甲子園での投手練習時、。好調の要因を自己分析した。「今は自分の中でも投げる動作がすごくかみ合っている。それが続けてできている」。動画は調子がいい時のものしか見ない。常にいい時のイメージのフォームの映像を頭にインプットし、それをスムーズに再現できている。甲子園で勝てる理由も「ファンの声援が一番。風も利用しながら。球場も広いので」と話し、広さと声援を味方に大胆に投げられている。

矢野監督も「ずっと安定してくれている。すべてのボールを使いながら見事にやってくれた」とほめた。前半戦は11試合、81回2/3を投げて7勝2敗と5つの貯金をチームにもたらした。伊藤将は「コロナで出遅れたのでその分を取り返そうと」と、4月12日にコロナ陽性判定を受け、復帰まで1カ月以上要した分を取り返そうと懸命に腕を振ってきた。防御率は1・87。昨季あと2回2/3だけ届かなかった規定投球回到達も目標だ。後半戦も無双状態を続け、チームをさらに上位へ押し上げる。【石橋隆雄】

◆阪神時代の井川 97年水戸商からドラフト2位で入団。99年に初勝利を挙げ、01年に9勝と頭角を表す。02年に14勝しエースに成長。03年には20勝(5敗)で最多勝、防御率2・80と2冠を獲得。MVPにも輝き18年ぶりのリーグ優勝に貢献。04年10月4日の広島戦(広島市民)でノーヒットノーラン。05年も13勝し、再び優勝の立役者となった。14勝を挙げた06年を最後に、ポスティングでヤンキースへ移籍。球団在籍86勝は阪神歴代13位の勝利数。

○…佐藤輝が好守備で同期入団の先発伊藤将をもり立てた。4回表2死、牧の右翼ファウルゾーンのフェンス際への飛球にグラブを伸ばしてキャッチ。直後、フェンスに軽くぶつかったがボールは離さなかった。打撃では3回に中前打を放ち、5試合連続安打をマーク。第1打席は四球、第4打席は一直と内容も上々で、24日は前半戦を締めるアーチに期待がかかる。

▽阪神中野(先制得点を含む2安打2得点)「(先発今永は)良い投手なので立ち上がりを攻められるように、今日はなんとしても1打席目から塁に出られるように意識して」

○…守護神岩崎がリーグ3位タイの21セーブ目をマークした。2点リードの場面で登板。先頭佐野を3球で空振り三振に仕留めると、牧を遊ゴロ。続く宮崎には中前打を許したが、最後は大和を投直で抑えて試合を締めた。矢野監督は「最後1人は出ましたけど、丁寧に丁寧に、またボールも良くなってきている。これからも頼りにしています」と信頼を寄せた。

○…2番手湯浅が、3者連続空振り三振で勝利をたぐり寄せた。1点リードの8回に登板。「マウンドに上がればやることは変わらない。強気に向かっていくだけ」。代打楠本、蝦名、桑原を圧倒した。リーグトップを走るホールド数と勝利数を合わせたホールドポイントは「27」となり、DeNAエスコバーに並びリーグトップ。最優秀中継ぎ賞を視界に捉える好成績だが、「チームに貢献できような投球をして、結果的に数字に表れてくればいい」と冷静だった。

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