広島秋山翔吾外野手(34)が、阪神17回戦(マツダスタジアム)でサヨナラ打を放ち、チームを後半戦初勝利に導いた。序盤から劣勢の展開が続くも、3点差で迎えた9回に同点に追いつき、一気にひっくり返した。この日4打席無安打だった3番が試合を決め、新天地のお立ち台に初めて上がった。総力戦でチームの連敗を7で止めた

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広島にとって特別な1日に、広島の窮地を救い、秋山は広島のヒーローとなった。3点を奪い同点とした9回。なお1死二塁から阪神岩崎のスライダーを振り抜いた。ライナーで右翼左に運ぶと、二塁走者菊池涼が三塁を蹴ってサヨナラのホームを駆け抜けた。後半戦初勝利に沸き立つマツダスタジアムで、同学年の会沢を筆頭に駆け寄ったチームメートの手荒い祝福を受けた。

「(8月6日は)広島の皆さんにとっては大切な日というか、忘れられない日だと思います。僕も外から来た人間ですけど、こういう野球ができていること、応援してもらえることをこれからも心に秘めて、皆さんとともにこの日を忘れずにやっていきたいと思います」

初めて上がった新天地のお立ち台で喜びを語った。生みの苦しみを味わう日々だった。球宴明けチームは勝ち星なく、7連敗。首位ヤクルトだけでなく、上位を争う阪神やDeNAにも離されていた。悪い流れの中でも前日まで5戦連続安打を記録するなど、バットでチームを鼓舞してきた。

10時間以上、車を走らせてやってきた新天地での生活も1カ月以上が過ぎた。初日は当然のようにお好み焼き店に足を運び、広島の味を味わった。西武、日本代表、米大リーグでの実績があっても、謙虚に広島流を取り入れてきた。若手とともにベンチでも声を出し、練習にも精力的に取り組む。試合になれば中堅手として両翼に指示を出す。移籍後初出場の7月8日中日戦終盤には「点差は開いているけど、守備からでも攻撃的にいかないと」と両翼にポジションを前進させる指示。リーダーシップも発揮する。

最大5点差をひっくり返し、佐々岡体制下ワースト8連敗を阻止した。総力戦で後半戦初星を手にした。佐々岡監督は「野手陣がそろってきた中でのこういう勝ち方っていうのはいい勝ち方だったと思います」。シーズン序盤の快進撃を支えた先発陣に疲れが見える中、野手陣がカバーした。指揮官が開幕前に掲げた“結束”は補い合ってこそ。この1勝を浮上のきっかけとしたい。【前原淳】

○…下半身コンディション不良から復帰した西川は4打数1安打で安心させた。2打席凡退した7回先頭で阪神藤浪の内角152キロを中前にはじき返した。「下(2軍)と上(1軍)では力の入り具合も違う。多少力が入ったが、(1安打出て)楽になった」。前日5日までのチーム連敗の余波で昇格が前倒しになった。緊急昇格にも動じず、6月2日以来の1軍戦で同日以来の安打を決めた。

○…先発アンダーソンは3回3失点で降板した。2回1死一、二塁で梅野に先制中前適時打を放たれた。3回にも無死満塁から二ゴロと犠飛でさらに2失点。佐々岡監督は「なんらかのアクシデントがあった」と話し、3回の打席で代打を送った。右腕は「思うような投球ができず、フラストレーションがたまった。ただ、打線が頑張ってくれて感謝している」。試合後には2軍で再調整が決まった。

○…一岡が18年9月21日以来1415日ぶり勝利を挙げた。3点ビハインドの9回を無失点で抑え、その裏にチームが点差をひっくり返し、サヨナラ勝利。久々の白星を手にした。「去年ファームで一番投げさせてもらえたのに、1軍に上がれなかった。使ってくれた方々に申し訳ない気持ちがある。そういう人たちに恩返ししたい」。17、18年には59試合に登板した投手がブルペンを支える。

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