ついに巨人戸郷翔征投手がプロ初の10勝目をつかんだ。今季最多の138球を投げ、8回5安打1失点。中日打線から12三振を奪う力投で、焦れずに援護を待った。

同点の9回2死、勝ち星の権利が消えかかったその時、中田が夢のような決勝13号ソロを放った。2年連続の9勝止まり。昨季は7月以降1勝にとどまり、5度の足踏みをした。今季を合わせ8度目の挑戦で報われた苦労。「長かった。3年間のいろいろなことを考えながら、ゲームに入った」と感慨深げだった。

原点ともいえる「悪夢の1球」が潜在意識にこびりついている。20年11月3日広島戦(マツダスタジアム)。初完封目前の9回2死一塁の初球、菊池涼に同点2ランを浴びた。「テレビでしか見たことがなかった」ことが自身を襲った。

中田の1発が逆に今後の教訓に思えた。「やっぱり野球は最後まで何が起こるか分からないことを見せつけられた」。悲願の10勝を達成しても「また、一からやり直そうと思えた」。

7月のオールスターでは昨季の最多勝投手、阪神青柳に2桁勝利へのアドバイスを求めた。「死ぬ気で投げて、バッターの援護を待て」。その言葉を守った先の9回2死、勝利の女神がほほ笑んだ。【三須一紀】

▽巨人原監督(10勝目を挙げた戸郷に)「良かった。すごく強い思いで今日も試合に臨んだと思いますね。その部分でしょうな。(決勝本塁打の中田は)この頃、打ってくれているしね。4番だね、問題はね、やっぱりね。乗り切れないね」

▽巨人桑田投手チーフコーチ(戸郷について)「ジャイアンツのエースイコール球界のエースですから。そういう高いところを目指して頑張っていこうと、そういう話を常々していますので。まだまだ課題もたくさんありますけど、2ケタ勝ったことを自信にして、さらに大きなピッチャーになってほしいなと思います」

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