若鷹で首位奪回だ。ソフトバンクが7月28日以来、27日ぶりにパ・リーグトップの座を奪い返した。3-3の延長11回に谷川原健太捕手(25)が勝ち越し犠飛。ドラフト2位ルーキー、正木智也外野手(22)もプロ1号を放つなど、杜(もり)の都で若い力が躍動した。チームは柳田まで離脱するなどコロナ禍に苦しむが、一丸で5連勝。一気に大混パを抜け出す勢いだ。

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首位奪回に弾みをつける、大きな1発だった。増田の適時打で逆転した4回2死。ルーキー正木が、楽天先発辛島の甘く入ったスライダーを思い切りとらえた。「自分のスイングができ、最高の結果になってよかったです。初ホームランは素直にうれしいです」。プロ1号ソロで2点差に拡大。即戦力として期待されたスラッガー候補に待望の1発が出た。3回に放った左翼線への二塁打と合わせて、こちらもプロ初の複数安打となった。

これまで3度、1軍に昇格してきたが定着できず。ファームで汗を流す日々に、同世代の仲間たちの活躍も目に入ってきた。「リチャードや増田、野村大、渡辺陸だったり、同期入団の野村勇さんが打っているのを見て、ぼくも負けていられないという気持ちでやってきた」。今月20日に4度目の昇格を果たし、約1カ月ぶりの先発出場で爪痕を残した。

慶大時代、リーグ戦など公式戦で放った本塁打は13本。「これまで野球人生でホームランで勝った試合も、ホームランに泣いて負けた試合もある。ホームランの重要性を感じてきた。大学生活13本、ホームランを打った試合は全部勝っていて、ホームランの大きさはすごい」と1発の魅力を肌で知る男だ。「これからもどんどん、ホームランを打っていきたい」。入団時に掲げた「本塁打王」の目標へ、第1歩を踏み出した。

チームはコロナ禍で離脱者が続出。柳田ら主力を欠く状況だが、同点に追いつかれて迎えた延長11回は野村大が二塁打で出て、増田が送りバント。最後は谷川原が決勝犠飛で試合を決めた。「野村大が出て増田が送ってくれたので、絶対にかえす気持ちだった。主力が抜けたからと言って、負けるのは絶対に嫌なので、必ず勝つという気持ちでいきました」と胸を張った。

藤本監督は「若い選手が、よう頑張ってくれているよね」と目を細めた。一丸で約3カ月ぶりの5連勝を決め、西武が敗れたため、7月28日以来、約1カ月ぶりに首位に浮上した。厳しい戦いは続くが「日替わりヒーロー」で苦境を乗り越える。【山本大地】

▽ソフトバンク増田(4回に一時逆転の2点タイムリー)「二遊間が下がっていたので、とにかく前に飛ばそうと思いました。追い込まれてしまいましたが、気持ちで何とか食らいついて打つことができました」

▽ソフトバンク・レイ(7回途中3失点)「コンディションも良かったし、徐々にいいパフォーマンスができたと思う。7回は甘くなったところを打たれてしまい、悔しさの残る投球となってしまいました」

▽ソフトバンク野村大(プロ初の猛打賞)「打席では自分のスイングをすることができたと思います。自信を持って打席に入ることができました」

◆静養 ソフトバンク松本裕樹投手(26)が体調不良のため、楽天17回戦(楽天生命パーク)に参加せず、チーム宿舎で静養した。PCR検査の結果は陰性。今後は体調を見て判断する。

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