「約束は守ります!」。開幕前にBIGBOSSが掲げた“スター誕生”のための公約が、ほぼ実現した。

日本ハム新庄剛志監督(50)が、楽天24回戦(札幌ドーム)で、ドラフト1位達孝太投手(18)ら新たに高卒新人の3投手を今季初起用。故障離脱中の新外国人、ジョン・ガント投手(30)を除いた支配下68人を1軍で起用したことになり、プロ野球のシーズン最多記録を更新した。

  ◇  ◇  ◇

来季デビューと思われていた高卒ルーキーたちが、次々と本拠地・札幌ドームのマウンドに立った。先発したドラフト1位達は、3四球と制球に苦しみながらも、3回を1安打無失点。達の勢いに乗せられるように、2番手の同5位畔柳は自己最速を更新する152キロをマーク。3番手、同7位松浦は2連続長打を浴びて2失点も、新庄監督は「球は一番、松浦君が良かった。回転数が2600ぐらいで、すごい数字らしいですよ。打たれはしましたけど、思い切りがいい」と話した。チームは5年ぶりに80敗到達も「3人とも良かったですよね。来年、面白い」と、BIGBOSSの声が弾んだ。

あえて同じ試合に3投手のデビューを設定し、ライバル心を刺激した。球団方針では、故障のリスクなどを避けるため、高卒投手の1年目は体作りに専念。1軍デビューは2年目以降が通例だった。「大事な選手だけど、でも(1軍で)見たいんですよ。なんとか投げさせたいという気持ちを、球宴前ぐらいから球団側に伝えていた」。フロントを説得して、晴れの舞台を整えた。

開幕前の公約を守った。「来年、シーズンが始まり、僕と一緒に戦って行く選手全員を1回は、あの大歓声の1軍のグラウンドに立たせる事を、ここで約束します」とツイッターで呟いた日から324日目。69人いる支配下選手のうち68人を1軍で起用して、アピールチャンスを与えた。「約束は守りますよ」と、うなずいたBIGBOSSは「優勝は目指さないっていうのも、守ったしね(笑い)」。近づく札幌ドーム閉幕の日とともに、トライアルの1年が間もなく終わる。【中島宙恵】

 

○…ドラフト1位達が、来年の開幕投手へ猛アピールした。デビュー戦は194センチの長身から繰り出す角度ある直球を軸に、3回1安打無失点。最速148キロを計測した。制球はバラつき3四球も、投げ急ぐことなく自分のペースを貫いた。「心の底から来年の開幕投手をやりたいと思っている。しっかりビッグボスにアピールできたと思う」と納得した。

○…ドラフト1位の達ら高卒新人3投手がデビューし、シーズン最多68人を1軍起用した。5年ぶりに80敗到達も、開幕前の公約通り支配下の日本人全選手を使った新庄監督は「約束は守りますよ。優勝は目指さないっていうのも、守ったしね」と苦笑いだ。先発した達、同5位畔柳が無失点も、同7位の松浦がプロ初登板で初黒星。「3人とも良かった。来年、面白い」と期待した。

○…新庄監督が相手投手にロックオン!? 7回1安打無得点に抑えられた楽天辛島を「好きなタイプ」と目をハートにさせた。今季、国内フリーエージェント(FA)権を取得した左腕に「アピールしてくれたのかな? こういうプレッシャーのかかった試合で、あのピッチングをするのが素晴らしいこと。ハートも強い投手だなと思いましたよね」と絶賛した。

○…ドラフト5位畔柳が、達の後を受け2番手で登板し、1回1安打無失点と好投した。帽子を何度も振り落としながら、気合のこもった表情で力投。新庄監督から帽子が脱げることを気にされ「サイズを小さくしたのですが、それでも脱げる。これ以上は小さくできないので、髪を短く切れば、滑り止めになるのかな」と予防策を思い描いていた。

○…ドラフト7位の松浦が初登板で初黒星を喫した。5回から3番手で、ドボルザークの交響曲第9番「新世界より」の音楽に乗って登板し、自己最速153キロもマーク。1死二塁から山崎、小深田に連続適時打を浴び、1回2安打2失点。「○…真っすぐで勝負できたのは良かった。ただ三振を取れなかったのは1軍と2軍の差だと思った」と振り返った。

北山亘基投手(23)が25日、楽天24回戦(札幌ドーム)で左足に打球が当たり負傷した。7回2死二塁から5番手で登板。同2死一、二塁で楽天島内宏明外野手(32)の打球が左足に当たった。投ゴロで火消しには成功も、患部を地面に付けない状態で肩を借りて、ベンチ裏へと引き揚げた。新庄剛志監督(50)は「明日の様子を見ないと。ちょっと分からないですね。無理はさせないし」と話した。

【関連記事】日本ハムニュース一覧