阪神の次期監督に内定している岡田彰布氏(64)が28日、神宮球場を訪れ、ヤクルト戦でABCラジオの解説を務めた。主砲の佐藤輝明内野手(23)に「これくらいの数字じゃ物足りない」と辛口で期待を込めるなど、来季への課題も指摘しながら岡田節全開でズバズバ解説。チームはヤクルトを連倒して3連勝。試合のなかった巨人を抜いて11日ぶりに単独3位に浮上し、クライマックスシリーズ(CS)進出に大きく前進した。

     ◇     ◇    ◇

「今、俺から言えることは何もない」。時の人となった岡田氏は球場入りの際、新監督就任の話題をさえぎった。だが、ラジオ中継が始まると、解説者としてズバズバ、今季の阪神について切り込んでいった。

★佐藤輝はもっと打てる

試合を通して一番長く語ったのは、佐藤輝についてだった。2回に第1打席に立つと「1年目の後半がものすごく悪かったでしょう。(今季は)三振の数も減っているし、打率も高い。でも、求めるものが高いんで、このくらいの数字では物足りない」とバッサリ。6回の第3打席では中前に安打を放ったが「タイミングを取るのが、全然遅い。2年前から言っている話ですけどね。投手が足上げても動かない」と指摘した。「飛距離はある。こんなに遠くに飛ばせるんだという。それが今は全然球が飛ばない。だから、(打つ)ポイントが悪い。差し込まれて。あの(高い)グリップの位置じゃ絶対に打てない。本塁打20本で終わる打者じゃない。どう考えてももっと打てるでしょ」とフォーム改良の勧めも出した。

★大山はスランプを短く

指摘は4番大山にも及んだ。3回に左翼ポール際へ大ファウルを放ったが「外角のスライダーを、あのファウルにするのは、よっぽどバットが遠回りしていると思う。状態はよくない」と分析。「悪くなってから修正ではなく、悪くなる前に自分で気付かないと」と、自身の現役時代の話も交えスランプを長引かせない秘訣(ひけつ)を伝えた。

★助っ人8人は多過ぎ

助っ人勢にも注文を出した。今季はマルテが右足を故障し、ロハスとロドリゲスも不振の低空飛行。「外国人は打点でしょう。何番を打たせるかにもよるが、相手に怖さを与える存在でないと」と勝負強さの欠如を指摘。2年連続の8助っ人態勢についても「多過ぎ」と持論を展開した。

新監督就任を前に、古巣への思いは止まらなかった。「選手とかを見ると悪くない。総合力でしょう。何かが足りない。それで(ヤクルトと)勝ち星が10個ぐらい違う」。地力はあるのに勝てないもどかしさ。それを俺が何とかする、という趣旨に聞こえたリスナーも多かったのではないか。「来季とかよりも、まず(10月)2日勝つこと」。一OBとしてCS進出を願って締めた。【石橋隆雄】

【ニッカン式スコア】28日のヤクルト-阪神戦詳細スコア