日本シリーズの大舞台で、爽やかに決めた。打撃に定評のあるオリックス山崎福也投手(30)が、0-0の3回1死三塁のチャンスで打席へ。初球のチェンジアップを振り抜くと、打球は右前へ。先制の一打に右拳をグッと掲げた。

日大三3年時のセンバツで、甲子園記録に並ぶ1大会13安打を放った山崎福は「なんとか(一、二塁間を)抜けてくれてよかったです!」と喜んだ。打撃用手袋は宮城に借り、エルボーガードとレガーズは14年ドラフト同期入団の先輩、小田から拝借した。それでも、打撃センスはホンモノ。神宮のオリックス党は拍手と驚きで沸き上がった。

本職のマウンドでも責任を果たした。オリックスが3年4カ月ぶりに試合をする神宮球場だが、山崎福は東京6大学時代にリーグ戦だけで61試合に登板している。傾斜が緩く、違和感を覚える投手が多い独特のマウンド。「大学の時は気づかなかったけど、打席が高く見えて変わった感じがします」。パ・リーグの投手が苦慮する中で、難なく対応できる貴重な投手で、2戦目の先発マウンドに抜てきされる根拠があった。

先制適時打は、投球にも好影響があった。今季の交流戦は東京ドーム、横浜スタジアムとセ・リーグ主催でともに7回1失点で白星。「交流戦でポンポンと勝てた。打撃があった方がよかった」。自信を持って大舞台に臨んでいた。

この日は4回68球無失点。「大事なゲームも、いつもと同じようにゲームに入っていけた。自分らしいリズムで投げられました」。打って、投げて-。かつて躍動した神宮で、再び輝いた。【真柴健】

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