現役最後のサプライズ「杉谷いじり」が行われた。今季限りで現役引退を発表している日本ハム杉谷拳士内野手(31)が試合前練習で打撃ケージに入ると、普段はベルーナドームでアナウンスを務める西武球団職員の鈴木あずささんのウイットに富んだ声が流れた。鈴木さんが、ユニホームを脱ぐ人気者へ最後のメッセージを寄せた。

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魅惑の超プロフェッショナルなムードメーカー杉谷選手、14年間、お疲れさまでした。驚きましたし、ニュースで一報を知った時は、泣きそうになりました。10月2日の最終戦の時「来年もよろしくお願いします」って、いつも通りだったじゃないですか。まさか野球選手としての生活を終えるなんて、想像していませんでしたから。長いお付き合いでありながら、直接会話した時間は、トータルで1時間もないかもしれませんね。変わった関係性かも知れませんが、私のアナウンス人生の中でも、とっても大切で特別な選手です。

最初は2014年の7月でしたね。アナウンス室の向こうから「今日、バッティング練習を最後にやるので『杉谷選手バッティング練習終了です』と名前を入れてもらえませんか」と。いやいや、ビックリというか、「なんてこと言い出すんだ?」と思いましたよ。球場のアナウンスの仕事は決められたことを違和感なく、聞きやすく話すのが基本ですから。その試合では言えませんでした。ただ、それから心に残ってしまいました。そして…その年の最終戦ですね。

忘れません。勇気を出して、言ってみると、とんでもなく球場がザワついて。選手も、コーチも、スタッフも、みんなこっちを振り向いて。ただ、杉谷選手は打撃練習が終わると、走って御礼を言いに来てくださいましたね。最初は「違った」かなとも思いましたが、やってよかったです。

日本中が大注目した、ユニホームを脱ぐ発表の場を「前進会見」と表現されていましたね。だから今後、新しい魅力、前進しているという証しをちゃんと見せてくださいよ。(西武池袋線沿い)大泉学園が地元ですし、ベルーナドームにも来てくださいね。だけど、もし前進できていなかったら…ベルーナドームも出禁です。(埼玉西武ライオンズ球場アナウンス担当)