目標は4秒切り! 阪神は第2クール初日の5日、午前のラストメニューで「併殺タイムトライアル」を開催した。平田勝男ヘッドコーチ(63)の発案で、打球インパクトから一塁捕球までの併殺タイムを計るもの。一般的な走者をアウトにできるとされる3秒台をノルマに、内野手8人が緊張感のある守備練習を実施した。

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平田ヘッドコーチがストップウオッチ片手に、安芸の大空に大声を響かせる。

「周東でもアウト!」

「赤星でもアウト!」

「カープ野間と勝負!」

打球インパクトの瞬間から一塁捕球まで、ヘッド指令のノルマは3秒台。併殺プレーを繰り返す内野手8人はもう必死だ。

ノッカーを務めた藤本内野守備走塁コーチの説明はこうだ。「左打者の足が速い選手で、3・8秒で(一塁まで)来る。右の速い選手でも4秒そこそこで来る。0コンマ何秒で、併殺を取れるか取れないかが変わってくる。そういうのを意識させてやった」。創意工夫を凝らした先の「タイムトライアル」だった。

この日1番のタイムは二塁熊谷、遊撃小幡、一塁大山の「二-遊-一」。藤本コーチは「(タイムを計る)平田さんのさじ加減もあるから」と苦笑しつつ、「小幡は肩も強いし」とスムーズな連係に納得顔だ。

一方でミスもあった。送球がそれたり、捕球失敗のケースも散見された。「速くしようとしたら、体も流れて小手先だけになってしまう。まずは(送球を)強く。強くから速く」と藤本コーチ。受け手が投げやすくなるように、正確性かつ強い球を送る作業を体に覚えさせる方針だ。

ノルマの3秒台10本を終えた後は、1700人のファンが拍手で内野陣を称賛した。平田ヘッドコーチは右手を上げ、高らかに宣言した。

「今年はいっぱいゲッツー取るよー!」

併殺増加へ。少々の遊び心を持った練習が、むしろナインの気を引き締めた。【前山慎治】

○…小幡は「併殺タイムトライアル」を終え「すごく大事だと思う」と振り返った。2軍では何度か行ったという同練習。「あれをやっていると、実際の走者だとちょっとゆっくりできる。緩いゴロだと形をつくれるが、タイムを計ると力が入ってしまう」。緊張感を持って汗を流した。