衝撃の5球だった。阪神からトレード移籍した日本ハム斎藤友貴哉投手(27)が5日、自慢のスピードボールで超満員の東京ドームをざわつかせた。侍ジャパン強化試合の5回に登板。最速159キロの直球と151キロのフォークで阪神近本と同僚の近藤をねじ伏せた。新庄剛志監督(50)が来季の守護神候補として期待する未完の剛腕が、大観衆の前でポテンシャルを存分に発揮した。

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初球から、4万超の大観衆の視線をくぎ付けにした。斎藤の剛速球が、大きなインパクトを残した。5回に登板。「新庄監督に『さあ、行ってこい』と押された」と気合十分でマウンドに上がると、古巣の阪神近本相手にいきなり、ど真ん中の直球でストライク。場内に157キロと球速が表示されると、一気にファンはざわめいた。2球目は158キロでさらにどよめき、3球目の151キロで二ゴロ。エンゼルス大谷に匹敵する超高速フォークで、度肝を抜いた。

衝撃は続いた。続く日本ハム近藤への初球は158キロ。そして三ゴロに打ち取った真っすぐは159キロを計測した。侍ジャパン投手陣も含め、この日の最速球。「バッターに向かっていけたので、すごいよかったかなと思います」と、ゆかりのある左打者2人を抑えてマウンドを降りた。

新天地で一気に殻を破りそうな予感だ。阪神時代はメンタルの弱さがウイークポイントとされてきた。新庄監督からも、あえて指摘されている部分だが、この日は「楽しんで投げられました」。注目の大舞台で、大きな経験値が増えた。

新庄監督もポテンシャル開花へ、きめ細やかな起用で後押しした。「右打者に対しては思い切り投げる投手なので、抜けた時にね(死球が怖い)」と、左打者限定でマウンドに送っていた。最速159キロと聞いた指揮官は「(秋季)キャンプに行って鍛えなおしたら163、4いけそうな。建山コーチが、ある部分をちょっと修正したら、もっと球が速くなってコントロールも良くなるって言ってた」と、期待を膨らませた。

自信が増した斎藤も「この投球を来年も継続できれば、いいところでイニングを任せてもらえると思う。どんどん積み上げていきたい」と、力強く話した。【木下大輔】