楽天涌井秀章投手(36)と中日阿部寿樹内野手(32)との1対1の交換トレードが成立したことが15日、分かった。近く両球団から正式発表される。

涌井はプロ18年で通算154勝を挙げ、今季は右手中指の骨折で長期離脱をしたものの、4勝3敗、防御率3・54。史上初の3球団で最多勝に輝き、昨年は開幕投手を務めた。

阿部は過去4年で3度規定打席に到達。今季133試合に出場し、打率2割7分、9本塁打、57打点と安定感を見せ、中日打線を支え続けた。

主力同士のトレード。実績ある選手を放出してまで、強化したい思惑が両球団にあった。中日は先発投手の補強を必要としていた。大野雄、柳、小笠原の先発3本柱に、リリーフ陣は清水、ロドリゲス、R・マルティネスによる勝利の方程式を確立。今季は高卒2年目の高橋宏がブレークし、松葉とともに6勝を挙げたが、そこに続く先発陣に不安があった。立浪監督就任以来、センターラインの強化をテーマに掲げ、投手陣整備が最優先課題。通算154勝を挙げるベテラン右腕が、課題を埋めるピースとなる。

楽天は右打者が手薄。1軍で出場し続けた右の内野手は浅村のみだった。今季DeNAから伊藤を獲得したが、定着できなかった。二塁、三塁、一塁、外野を守るユーティリティーの阿部の加入で内野手の厚みが増す。また、実績ある選手が加入し、若手たちには超えるべき目標が見える。チーム内の競争を激化させ、戦力の底上げにも期待がかかる。阿部は岩手・一関市出身。来季は地元球団でプレーすることになる。

◆涌井秀章(わくい・ひであき)1986年(昭61)6月21日生まれ、千葉県松戸市出身。横浜から04年ドラフト1巡目で西武入団。13年オフにFAでロッテ移籍。19年オフに金銭トレードで楽天入団。最多勝利4度(07、09、15、20年)沢村賞(09年)ゴールデングラブ賞4度(09、10、15、16年)。08年北京五輪、09、13年WBC日本代表。16年にモデルの押切もえと結婚。今季推定年俸1億1000万円。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。

◆阿部寿樹(あべ・としき)1989年(平元)12月3日生まれ、岩手県一関市出身。一関一では甲子園出場なし。明大では広島野村と同期で1年春からベンチ入り。リーグ通算64試合で打率2割6分3厘。ホンダを経て、15年ドラフト5位で中日入団。16年8月11日ヤクルト戦で初出場。19年から二塁の定位置をつかみ、20年に自己最多の13本塁打。今季推定年俸3600万円。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。