阪神石井大智投手(25)がシーズン開幕前に結婚していたことが28日、分かった。お相手は神奈川県出身の7歳上の一般女性(32)で、約1年2カ月の交際期間を経てゴールイン。1月26日に婚姻届を提出し、すでに兵庫県内で新婚生活を開始している。3年目の来季は40試合以上の登板が目標。愛妻のためにも1軍に定着し、プロ初勝利を目指す。

 

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愛する人が、ピンチをチャンスに変えてくれた。今年3月26日。石井にとってのシーズン初登板だったヤクルト戦(京セラドーム大阪)で、いきなり2失点。帰宅後、「打たれてごめん…」と頭を下げる右腕を救ったのは、夫人の言葉だった。

「申し訳なさなんか感じなくていい! 独立リーグからつかんだ夢なんだから、大智が後悔のないように楽しくやってほしい」

プレッシャーに押しつぶされそうになるたび、心の支えになった。その後は15試合連続無失点。ブレークの兆しを見せた1年の裏に“メンタルコーチ”と化した夫人の存在があった。

出会いは四国IL高知時代。夫人は当時、スタジアムアナウンスとして活躍していた。「ピッチャー 石井大智」-。その声とともにマウンドに上がる日も。登板のない日には、ネット裏でスコアを取りつつ「ショートが何かも分からなかった」夫人に野球のルールを教えた。

ぱっちり二重の瞳、何より自分と似た性格に親近感が湧いた。「仕事に対してプロ意識もあって、たまにポンコツで…」。グラウンドで顔を合わせるたび、心の距離は縮まっていった。

高知市内のイオンで人気アニメ「鬼滅の刃」の映画を見るなどデートを重ねた。ドラフト指名された直後の20年11月25日、交際開始。約1年、兵庫と高知の遠距離恋愛を経て、昨年12月13日にプロポーズした。「サプライズはいらない」と事前に情報を入手。自宅での夕食後「結婚しよう」と“直球”を投げ込んだ。

夫人は今年2月、アスリートフードマイスターの資格を取得。栄養満点の手料理に支えられ「毎日変わらず料理を作って待ってくれてて、すごく身に染みます」と感謝する。

恩返しはマウンドで示すのみ。プロ3年目の来季、勝ちパターン入りへ腕を振る覚悟だ。「40、50試合投げないと中継ぎとして名乗れない。まずは試合数を投げたい」。頼りになる姉さん女房とともに、新たな夢を追う。

 

◆石井大智(いしい・だいち)1997年(平9)7月29日生まれ。秋田市出身。旭川小3年から旭川スポーツ少年団で軟式野球を始める。秋田東中ではロッテ成田翔とチームメート。秋田高専ではエース。18年から独立リーグ四国IL高知でプレー。20年ドラフト8位で阪神入団。3月26日ヤクルト戦(神宮)でプロ初登板。今季は18試合に登板し0勝1敗、防御率0・75。175センチ、79キロ。右投げ右打ち。