超攻撃的に! 阪神近本光司外野手(28)が沖縄・宜野座キャンプ休日の3日、日刊スポーツでありのままの思いをつづるコラム「研鑽」の第2回で、独自の「1番打者論」を展開した。岡田彰布監督(65)にリードオフマンを託される今季の鍵に二塁打増を掲げ、初回第1打席のインパクトある内容にこだわる覚悟だ。「野球」に比重を置いたオフの新たなチャレンジには「楽しみでしかない」など、たっぷりと語った。【取材・構成=中野椋】

   ◇   ◇   ◇

日刊スポーツ読者の皆さん、阪神タイガースの近本光司です。2月1日にキャンプインしました。今回は「野球」のことを話してみたいと思います。

まずは1番打者について。1番打者であれば、僕は初回の第1打席にこだわりがあります。相手投手の立ち上がりにインパクトのある打球を打っていきたいんです。実際は良いボールが来ていたとしても「カチン!」と捉えることができれば、相手は「アレ? 思ったよりもボールがいってないのかな?」となる場合があります。こちらのベンチも「あっ、今日はボール、来てないんちゃうかな」と思えることも、けっこうあるんです。実際、僕が過去に先頭打者本塁打を打った試合は、チームもあまり負けていない印象があります(※1)。

その初回先頭の第1打席、理想は二塁打での出塁です。無死二塁なら進塁打でも送りバントでも外野フライタッチアップでも、1死三塁の形を作ることができます。1死三塁ができればいろんな形での得点の可能性が上がります。これが2死三塁なら基本的にはヒットを狙わないといけない。僕はシングル(単打)なら盗塁もしますが、できるだけダブル(二塁打)を狙いたいというのは、すごく思っていること。プロ3年目の時にはもう、「どうやって二塁打を打つか」ということしか考えていませんでしたから(※2)。

昨年は3番を打たせてもらうことも多かったです。後ろが悠輔(大山)やテル(佐藤輝)ならホームラン、長打があります。それだけでホームにかえってくることができる。だからリスクを負って二塁打を狙うことはしません。3番では、とにかく塁に出ることを意識していました。ただ、1番でも3番でも根本にあるのは、自分のやりたいこと、理想としていることをやるだけということ。その考えに打順は関係ありません。

今オフに積んだ「研鑽」は少し特別でした。簡単に言えば、例年よりもボールを投げたり打ったりして「野球」をすることに時間を割きました。こんなオフは今までなかったように思います。

年齢を重ねていくと、オフに1度野球から離れる時間ができれば、いろいろな部分で「戻す」のに時間がかかる、とよく聞きます。これから年齢が32歳、33歳となっていけば体も変わるでしょう。その時に考え始めるよりも、事前にやっていれば苦労にならないと思います。

そういった意味でも、オフにしっかりと野球の練習を続けていたら、どういった結果が出るのか知りたいんです。シーズン1年間もつのか、もたないのか。いいスタートが切れるのか、切れないのか。良い結果になろうが悪い結果になろうが、やってみないと分からない。まだ20代。今年がいい機会だと思いました。

不安なら決してこの方法でやっていないですから。今年のシーズン、今は楽しみでしかありません。(阪神タイガース外野手)

 

※1 近本の先頭打者本塁打はプロ通算8本。8試合で6勝2敗と勝ち越している。8試合の総得点は39点で1試合平均4・9点。初回の一打で流れを引き寄せているといえる。

※2 近本はプロ通算90二塁打。プロ3年目は唯一30本台の33二塁打をマークしている。3番を務めることも多かった昨年はプロ最少の16二塁打。一方で単打132本、41四球はプロ4年間で自己最多だった。

【関連記事】【近本光司コラム】キャンプは練習でインプットし実践などで「どうアウトプットしていくか」大切