力強い投球で、寒さを吹き飛ばした。

JFE東日本の4年目右腕・広沢優投手(21=日大三)が、1点を追う6回に4番手として登板。1イニングを投げ、打者5人に対し2安打無失点だった。

冷たい強風が吹く中でも、力強い球を投げきった。スカウトのスピードガンで自己最速タイの152キロを記録。観戦した6球団9人のスカウトを唸らせた。

オープン戦初登板にして早速、手応えをつかんだ。「オフに取り組んできたことの多くを出せたと思います」と胸を張った。もともと太りにくい体質ながら、この冬は1日6食と補食を増やし肉体改造。体重は87キロから17キロ増の103キロに。身長189センチから投げ下ろす真っすぐの威力は見違えるほどに増した。「真っすぐで押せるようにするのが課題でした。今日は重みのある真っすぐで打ち取れたのが良かったです」と、笑顔を見せた。

1年でも早くプロに行きたい、と進路に社会人を選んだが、3年目の昨年は結果を残せず。ドラフト候補に挙がらなかった。自分自身に足りないものは何なのかー。正面から向き合い、課題を克服し社会人4年目を迎えた。「勝負の年だと思っています」と、好スタートを切った。観戦したDeNA吉見スカウトは「まとまりが出てきた。うまさと落ち着きがある。成長を感じますね」と評価した。

2月9日、日大三の恩師・小倉全由監督が3月いっぱいでの退任を発表したばかり。「もう少しやって欲しかったんですが。でも、僕のピッチングを見にきて欲しいです」。恩師に、成長した姿を見せる。広沢の勝負の年が始まった。【保坂淑子】