どうする、WBC-。第5回WBCは、日本が約2週間に及ぶ激戦を制し、頂点に立った。スリリングな試合の連続で、世界各国での注目度は増し、あらためて野球の魅力が広まる大会となった。回を重ねるたびに規模が拡大される一方で、3年後の26年をはじめ、今後のWBCはどうなっていくのだろうか。代表合宿から随時連載してきた「どうする●●」を「回顧録」としてお届けします。

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日本国内の盛り上がり、注目度は異例としても、開催国の米国内でも、これまでにないほどWBCは脚光を浴びた。1次ラウンド各組終了時点で、入場観客数、テレビ視聴率、グッズ売り上げなどは過去最高を記録するなど、大会の規模は確実に膨らんだ。その一方で、開催時期をはじめ、大会のフォーマットなど、あらためて複数の問題点も浮き彫りになった。

第1回大会以来、公式戦開幕前の3月に開催されることへの異論は多く、あくまでも「調整段階での大会」と指摘する声は依然として少なくない。直前のオフにFAなどで移籍した選手などが公式戦への影響を憂慮し、出場を辞退する傾向も変わっていない。

また、本来であれば春季キャンプ中でもあり、特に投手の場合、各ラウンドごとに球数が制限されるだけでなく、各所属球団が調整ペースを細かく管理するケースも多い。そのため、各代表監督は起用法、登板日程に配慮することが最大の責務となった。実戦不足で参加する野手にしても、試合での打席数、守備機会が限られるため、調整遅れのまま、開幕を迎えるリスクを背負ってきた。

今回はコロナ禍で6年ぶり、次回は3年後だが、基本は4年に1度の世界舞台。7月の球宴期間を前後いずれかにずらし、公式戦を10日間前後中断して開催するプランは不可能ではない。選手のコンディションは極めてトップに近く、よりハイレベルの真剣勝負になる可能性は高い。

もっとも、営業面では開催地の選定を含め、未知数の部分も多い。大都市圏のカリフォルニアをはじめ、3月のアリゾナ、フロリダは避寒地で集客が見込めるため、市場としての魅力は十分。ラテン系のファンも多く、幅広い集客が期待できる。故障のリスクにしても、3月開催であればシーズン中の復帰が可能でも、7月に故障離脱した場合、ポストシーズン争いのヤマ場に影響しかねない。たとえ理想型は7月開催でも、現時点でMLBが変更することは現実的ではない。

大会フォーマットも、依然として定まっていない。複数の関係者によると、選手会側は故障のリスクを軽減するため、試合数減を要望。今大会は従来はリーグ戦だった2次ラウンドを廃し、準々決勝以降をトーナメント形式に変更した。また、準々決勝後に組み合わせが突然変更になり、勝ち進めば対戦するはずだった日本-米国戦の準決勝カードが変更されるなど、不透明感は残った。

今後も、開催時期、フォーマット、参加国数など、大会ごとに改正される可能性は高い。選手が大会への参加を熱望するような価値観を持つだけでなく、世界中のファンを魅了する大会へ成熟するためには何がベストか-。現時点で正解は見えていない。【四竈衛】