ソフトバンクが「日本生命セ・パ交流戦」の阪神戦(甲子園)で、今季初めて4点差を逆転し、19年以来の交流戦勝ち越しを決めた。1点を追う9回2死一、二塁で、1番中村晃外野手(33)が逆転の2点適時二塁打。藤本博史監督(59)が起用した代走周東、谷川原の好走塁も光り、阪神岩崎を攻略。交流戦9度目の優勝へ望みをつなげた。

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16日のカード初戦は敗北。負けられない阪神との第2戦で、藤本監督の采配が的中した。特筆すべきは1点を追う9回だ。

1死走者なしで、代打嶺井を起用。左腕岩崎から右翼線二塁打を放ちチャンスメークに成功すると、即座に代走のスペシャリスト周東を二塁走者に送る。次打者の甲斐は四球を選び、1死一、二塁。9番野村勇が初球を見逃した後に、今度は甲斐に代走谷川原を送った。指揮官は「(一塁走者は)逆転のランナー。逆転へ勝負をかけた」と、1球悩んだ挙げ句の代走起用を振り返る。リード面で経験豊富な甲斐と嶺井をベンチに下げ、勝負手を打った。

野村勇は三振に倒れたが、2死一、二塁で1番中村晃が左中間へ逆転の2点適時二塁打。一走の谷川原はホームまで激走し、間一髪でセーフをもぎとった。殊勲打の中村晃は「一塁ランナーがかえってくるとは思わなかった。谷川原には感謝したいです」。阪神岡田監督のリクエストも判定は覆らず、藤本監督も「良かったですね」とうなずいた。

勝利への布石は序盤からあった。先発石川を4回途中4失点で諦めて継投策へ。2番手以降のガンケル、ドラフト5位松本晴、甲斐野、大津、田浦が無失点リレーでつないだ。「松本晴もよう頑張った。良かったね」。逆転に成功した後は絶対的守護神オスナが3人斬りで締めた。

1-4の7回2死一塁では、代打野村勇が1点差に詰め寄る今季1号2ランを放った。「嶺井も良く打ったし、野村勇のホームランで『よし、いける』っていう風になった」。最大4点差の逆転は今季初。随所で藤本采配が光った。

交流戦は残り1試合を残して10勝7敗。勝率1位だった19年以来の勝ち越しを決めた。18日の最終戦で勝てば、9度目の交流戦優勝に望みがつながる。ソフトバンクが底力を見せた。【只松憲】

○…腰の手術から再起した野村勇が、地元の兵庫で今季1号2ランを放った。1-4の7回2死一塁で代打で登場。阪神及川の148キロ直球を左翼スタンドへ運び「とにかく自分らしく思い切ってスイングをすることだけを考えました。長打が欲しい状況で、狙い通りのバッティングができたと思います」とうなずいた。1点差に詰め寄り、9回の逆転劇に貢献。昨季10本塁打を放った右の大砲候補が大仕事を果たした。

▽松本晴(5回から3番手で登板し、2回無安打無失点)「甲子園は高校時代も登板したことがなかったので、とても楽しかったです。バッターと対戦というよりは、久しぶりの登板だったので『やっと投げられる。楽しもう』と思って投げました」

▽ソフトバンク甲斐(5回2死三塁で元同僚の大竹から左前適時打)「打ったのは真っすぐです。ビハインドの展開ですが、まず1点という思いだけでした」

【動画】虎の守護神から中村晃が2点タイムリー 終盤の猛攻でソフトバンクが遂に逆転

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