得意の本拠地で投手3冠に躍り出た。ロッテ佐々木朗希投手(21)が今季最長8回を投げ、5安打無失点。リーグトップにあと1と迫る6勝目を挙げた。

初回無死二、三塁のピンチを3者連続空振り三振で切り抜けるなど、今季7度目の2ケタとなる11奪三振。両リーグ最速で突破した100奪三振を107まで伸ばした。160キロ超の直球と高速フォークに加え、通常より5キロ近く遅い130キロ台のスライダーでカウントをとる“ニュー朗希”も披露。規定投球回数に到達し、奪三振数、勝率と防御率でリーグトップに浮上した。

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佐々木朗が、初回にいきなりギアを上げた。「全員、三振をとる気持ちで投げました」。先頭の外崎に初球の158キロ直球を左中間フェンス直撃の二塁打。ZOZOマリンで今季許した初長打だった。2番源田にも初球の157キロを三塁前にバント安打。2球で無死一、三塁のピンチは、自身の暴投で二、三塁と大ピンチに広がった。「先制点はあんまり」。そこから自らの闘志に火をつけた。

いきなりの痛打で西武打線の直球狙いを察知し、変化球にシフトチェンジする冷静さも兼ね備えていた。「丁寧に良いところにしっかり投げようと思って、その中で投げきれたことは良かったと思う」。3番マキノンをスライダー。4番中村もスライダー。5番高木はフォークで、3者連続の空振り三振。圧巻の投球で波に乗った。

主体を直球から変化球に変えた。全投球数に対する変化球率は今季最多の63・2%で、フォークの数が直球を上回ったのも初。スライダーも今までは右打者の外角を狙った140キロを超える速い軌道だったが、内角から速度を落とした137、8キロも計8球駆使。ストライクゾーンでカウントを整える、新たな朗希投球術も交えた。「初回に良い攻撃をされたので、相手の反応を見ながら、うまく組み立てることが出来たと思う」。3回には初回に打たれた外崎にスライダーを5球続け、最後はフォークで空振り三振。2回に158キロの直球を右前打された古市に対しても、5回の次打席にすべてフォークで二ゴロ。要所では160キロを超える直球も脅威だが、同じ球種での緩急で大きく幅を広げた。

5月5日に右手中指のマメの影響で、約3週間、登板間隔が空いた責任も感じている。「投げられなかった期間があるので、1試合1イニングずつでも多く投げられるように」。開幕からパ・リーグ相手の本拠地無失点も33イニングに伸ばした。107奪三振、防御率1・50、勝率7割5分と3部門でリーグトップ。イニングはより長く、失点はより少なく、勝利に導く。エースの自覚たっぷりに、研究し尽くす相手を上回り続ける。【鎌田直秀】

▽ロッテ吉井監督(佐々木朗の投球に)「三振が取れる投手で、ゴロも多い。今のところ文句のつけようがないですね。完封は、まだシーズンが長いので、そのうちやってもらいます」

▽ロッテ佐藤都(佐々木朗を好リード)「スライダーは今までは『アウトローにしっかり投げなきゃ』と思いすぎて引っかけたりがあったが、『打たれてもいいや』くらいでの根拠のある使い方。1つの方法」

○…打線も佐々木朗を援護した。3回には角中が、西武平良の151キロ直球を先制の中前適時打。「追い込まれていましたが、タイミングは合っていたので、ボールをリリースした瞬間『いける』と思い振り抜きました」と会心の一打になった。6回には中村奨も7号の左越えソロ。佐々木朗の登板11戦で3発目となった。

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