リーグ戦8勝1敗1分同士でもつれ込んだ優勝決定戦は、東農大北海道オホーツクが旭川市大に3-0で勝ち、6季連続36度目の優勝を飾った。

プロ志望届を提出済みの左腕石沢大和(4年=網走南ケ丘)が4安打9奪三振で完封し、3季連続で最高殊勲選手賞(MVP)を獲得した。10月12日から明治神宮大会(11月15日開幕)の北海道地区代表決定戦(札幌円山、2勝先勝方式)で北海学園大と対戦する。

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最速145キロ左腕のエース石沢が、優勝決定の大一番を完封で締めくくった。「全部投げ切りたいという思いで投げた」。直球と変化球を織り交ぜ、旭川市大打線を4安打に抑え込んだ。緩急自在に、初球で多用した大きいカーブが効果的だった。「カーブを初球から振ってくるバッターはあまりいないのでカウントを取れた」と納得顔だった。

投手陣の総力でリーグ戦を乗り切った。石沢は6月の全日本選手権後に腰を負傷し、秋季リーグ開幕の2週間前まで投球練習ができなかった。調整の出遅れもあり、先発としては23日の函館大戦で登板したのみ。リーグ戦10試合中9試合は笠間稜世(3年=旭川実)と神宮僚介(2年=桐生第一)が先発2本柱としてフル回転した。

三垣勝巳監督(43)は「石沢だけでなく、下級生にも経験を積ませなければならない」と、成長のチャンスと捉えて先発のマウンドに送り続けた。神宮はチーム最多の5試合に登板した。24日旭川市大戦では公式戦初完投。最優秀投手賞にも輝いた。神宮について三垣監督は同日の試合後、「体が強い。最後までよく投げてくれた。非常に大きい完投」とたたえていた。

主戦石沢は後輩たちが奮闘を続ける間に、長いイニングを投げられるまでに調整を進め、優勝決定戦で復活を遂げた。プロ志望届を提出済みだが、まずは北海学園大との明治神宮大会の代表決定戦に集中する。「自分が投げて三垣監督を勝たせることは宿題。網走に戻ってもう1、2段階上げていかないと」と気を引き締めた。【石井翔太】

 

○…3番の江川輝琉亜中堅手(3年=熊本工)がソロ本塁打を含む3安打2打点で打線をけん引した。1回1死二塁からの先制適時打に「今まで苦しい展開の試合が多かった。先制取るために走者をかえすことだけを考えていた」と振り返った。1点リードの8回には初球の直球を振り抜き、右翼スタンドまで運んだ。「どんな球でも振ろうというのが、いい結果につながった」と笑みをこぼした。