エースが大一番に帰ってくる。ロッテ佐々木朗希投手(21)が、14日のソフトバンクとのCSファーストステージ初戦(ZOZOマリン)に先発する可能性が急浮上した。12日、吉井監督、黒木投手コーチらが見守る中でブルペン入り。松川捕手を相手に21球、全球種を投げ込んだ。シーズン中も先発2日前のブルペン入りが通例だった「令和の怪物」。本拠地ファンの前で9月17日西武戦以来、1カ月ぶりの実戦マウンドへ上がる準備が整った。

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晴天のZOZOマリンスタジアム。ホーム用の白ユニホームに身を包んだ佐々木朗が午前11時前、ゆったりと右翼裏のブルペンに向かった。報道陣が構えるスタンドから中の様子をうかがい知ることは出来なかったが、黒木コーチは「体のチェックをしながら、ボールの軌道だったり、回転とかを全体的にチェックしたピッチング。出力は100%ではないですけど、まあまあの感じで投げていました」と説明。CSでの復帰について明言こそしなかったが、「もちろん、そういう状況の中で調整はしています」と話した。

山あり谷ありの今シーズンも、最終盤の短期決戦に間に合いそうだ。前半戦だけで7勝を挙げ、奪三振数では一時トップを独走。だが7月25日に左脇腹肉離れで登録抹消された。9月10日オリックス戦で48日ぶりに復帰した際には、「まだまだ大事な試合が続くので、その中で最後まで戦っていきたい」と話していた。ところが復帰3戦目として予告先発されていた同24日ソフトバンク戦を発熱で登板回避し、再び登録抹消となった。同30日から1軍に再合流。今月9日には楽天モバイルパークでブルペン入りし、復帰へのステップを踏んできた。

緊張感のある大舞台は経験済みだ。入団2年目の21年、本拠地開催の楽天とのCSファーストステージ第1戦の先発に抜てきされ、6回4安打10奪三振1失点(自責0)の力投で勝利に貢献。今年3月には侍ジャパンのメンバーとして、WBC優勝の歓喜を味わった。相手となるソフトバンクに対しても、近藤には今季も8打数無安打、通算でも17打数無安打と球界NO・1の「近藤キラー」で鳴らす。柳田も今季は11打数1安打に封じている。3位から「下克上」で日本一を勝ち取った10年以来の頂点へ、最強のピースが戻ってくる。【鈴木正章】

<佐々木朗の今季>

◆3月4日 日本代表壮行試合で中日相手に日本選手最速タイの165キロ。

◆同11日 WBCのチェコ戦で3回2/3、自責点0。21歳4カ月はWBCの日本代表で最年少勝利投手。

◆同20日 WBC準決勝のメキシコ戦で4回3失点(勝敗なし)。翌21日米国戦は登板なしも優勝メンバーとなる。

◆4月14日 オリックス戦で山本との初の先発対決に投げ勝つ。

◆5月5日 ソフトバンク戦で5回無安打、12奪三振も右手中指のマメで降板。次の登板は同28日となる。

◆7月24日 球宴登板から中4日となったソフトバンク戦で左脇腹の違和感により、6回1失点で降板。

◆同25日 左内腹斜筋損傷と診断され離脱。吉井監督は全力投球まで最低2カ月かかると説明。

◆9月10日 オリックス戦で48日ぶり復帰。球数制限を設け、3回45球、1失点(敗戦投手)。最速161キロに「それなりのボールは投げられた」。

◆同17日 西武戦で3回3失点(敗戦投手)。初体験のベルーナドームで着地の歩幅が合わず制球乱す。

◆同24日 ソフトバンク戦で発熱のため登板回避。特例2023の対象選手として出場選手登録を抹消される。