U18日本代表のエース、大阪桐蔭・前田悠伍投手(3年)はソフトバンクに1位で指名された。大阪府大東市の同校で吉報を受けた。ほとんど表情を変えずに交渉権確定を待った。外れ1位で3球団が競合。交渉権の行方が決まり、隣の西谷浩一監督(54)を会話をかわしてようやく少し笑みを浮かべた。

「ソフトバンクはベテランの方も活躍されていますし、若手の方もどんどん活躍されている。すごくバランスのいいチームだと思うので、早くその一員となって活躍できたらいいなと思います。(小久保監督は)現役のときも活躍されていましたし、素晴らしい監督のもとでやれるのはうれしいです。自分はいい選手とは長く活躍できる方だと思うので、和田選手にいろいろうかがってみたいです」と語り、プロの侍ジャパンの一員になる夢も語った。

西谷監督も「チームを勝たせるために1年からフル回転でやってくれました。ドラフトで指名されるというよりも、ドラフト1位で指名されるような選手に育てないといけないと思ってやってきた。チームを背負って投げられるようになってきました。立派な3年間だったと思います。プロの世界で勉強して大きなピッチャーになってほしいです」とエールを送った。

今年の高校NO・1と言われるスター候補生だ。まず実績が群を抜く。甲子園には2年春夏、3年春の3度出場。昨春のセンバツでは2年生ながらエース格として圧倒Vに導いた。準々決勝の市和歌山戦、決勝の近江(滋賀)戦に先発して計13回で自責0。今春は本調子でないながらベスト4。明治神宮大会もフル回転で連覇した。大舞台でこそ輝くのが真骨頂だ。

最速は148キロ。ブレーキの効いた得意球チェンジアップやカットボールを思うように制球する。数々の栄光を残した高校生活の極めつきは9月のU18W杯。韓国、米国、そして決勝の台湾戦と勝負どころの3試合に先発。計1失点と圧倒的な投球で、高校ジャパンを初の世界一に導いた。

フィールディングやけん制球など、投球以外にも必要な技術を備え、メンタルも超高校級。心は熱く、頭は冷静にマウンドで体現し、チームを勝利に近づけていく。3年時はコンディション不良も重なって「伸び悩み」が指摘されたが、その才能を疑う野球関係者はいないはず。注目を浴び続けた左腕が、いよいよプロの世界に羽ばたく。

滋賀県出身、180センチ・80キロ、左投げ左打ち。