虎のエースが最後の最後で帰ってきた。日本シリーズ第7戦に先発した阪神青柳晃洋投手(29)が、5回途中4安打無失点の快投で日本一に大きく貢献した。この日の練習前には岡田監督から監督室に呼ばれ、「楽しんで、思い切ってやってこい」とゲキを飛ばされたという。初回から自己最速タイ149キロを計測。エンジン全開で1球1球に魂を込め、大役を果たした。

「最後こういう試合で投げられたのがうれしい」

世界を舞台に戦う友の姿を見て、勇気をもらった。9~10月にかけて実施されたラグビーW杯フランス大会の日本代表として、帝京大の同級生のフッカー坂手淳史(30=埼玉)が出場していた。大学の必修科目の授業でクラスが一緒で、トレーニングルームでの自主トレの時間も重なることがよくあり、親交を深めた。青柳はアルゼンチン戦をテレビで観戦し「自分も頑張らなきゃ」と奮い立った。同時に「いつもこういう感じで(テレビで)見られているんだな」と応援する側の気持ちを知った。支えてくれた人への感謝を胸に、最高の舞台で輝いた。

オリックスとは交流戦で過去2試合に先発し、計12回を投げ無失点。京セラドーム大阪は通算8試合で5勝1敗という好相性も後押しした。22年には投手3冠を手にしながら、今季は不振で2軍落ちも経験した。苦しみ抜いた先の最後には、最高の景色が待っていた。【古財稜明】

【熱戦!日本シリーズ特集ページ】