札幌6大学野球1部の北海学園大で、2シーズンに渡ってアナリストを務めてきた加藤拓光(たくみ)さん(23)が、プロ野球西武にバイオメカニストとして就職することが決まった。運動生理学、統計学などの観点からチームを支える仕事。来年1月の“プロ入り”を前に「プロや社会人を目指す選手がたくさんいるこのチームでやらせてもらう中で、データを使って、プロの球団で生活をしたいという夢をもらった。かなえられたことはすごくうれしい」と、周囲に感謝し喜びをかみしめた。

練習や試合で取得したデータを分析し、監督、選手らにフィードバックしてパフォーマンス向上につなげるのがアナリストとしての主な役割。加藤さんは特に「ラプソード」と呼ばれる機器を使いながら、投手の球速、回転数や回転軸などのデータを元に1人1人にアドバイスを送ってきた。

小学2年の時に野球を始めた。札幌旭丘でもプレーしていたが、1年時に頭痛やめまいに悩まされ、起立性調節障害と診断を受けた。3年夏は選手としてプレーできずに記録員としてベンチ入り。「乗り越えたから今があると思う」と振り返る。

北海学園大では、外部コーチとして少年野球の指導にあたっていたが、野球部のアナリスト募集を知り、独学で勉強しながら4年生になる22年春に活動を始めた。今年3月に大学卒業後は、北海道教育大岩見沢校の研究生として、生物のからだの仕組みや動き方について力学的に研究するバイオメカニクスの知識を学びながら、北海学園大のアナリストを継続してきた。

今秋は14年ぶりとなるリーグ制覇に貢献。10月中旬に受けた西武の面接試験で、これまでの活動が評価され採用が決まった。「ワクワク、楽しみですね。より勉強できる機会にもなると思うので成長したいなという気持ち。アンダーカテゴリーを含めて、日本代表のスタッフになることが今後の夢」。描く目標に向かって新たな生活が始まる。【山崎純一】

 

◆バイオメカニスト 運動や動作など身体の動きを映像などで測定。データを分析して、選手や指導者にトレーニング方法などの方向性を示し、能力やパフォーマンス向上につなげることを役割とする。

 

◆起立性調節障害 自律神経の働きが悪くなり、起立時に身体や脳への血流が低下する病気。倦怠(けんたい)感や起床困難、動悸(どうき)、頭痛、めまい、立ちくらみ、腹痛などが主な症状。季節や気候の変化、生活リズムの乱れなどが原因とされており、小学校高学年から高校生くらいの年齢で発症することが多い。

 

◆加藤拓光(かとう・たくみ)1999年(平11)12月16日、北海道札幌市生まれ。札幌緑丘小2年時に緑丘ホーマーズで野球を始める。札幌啓明中時代は真駒内シニアでプレー。札幌旭丘3年夏は記録員。北海学園大4年の春から野球部アナリストとして活動。家族は両親と弟。血液型O。憧れの人は日本ハム稲葉篤紀2軍監督。好きな食べ物はすし。右投げ左打ち。176センチ。