東都大学リーグの中大に進学予定の大船渡(岩手)・佐々木怜希投手(3年)が20日、打撃投手を務めた。

ロッテ佐々木朗希投手(22)を兄にもつ、最速143キロ右腕は、すでに2月1日に入寮を済ませており、現在は鹿児島・霧島市内でのキャンプに参加中。この日は「(昨年)夏の岩手大会以来です」という打者相手の投球。約10分間、43球を投げ、ヒット性の打球は3本だった。

初球、いきなり高め直球で空振りを奪った。最終的に43球中、ボール球は17球。5球連続で球が大きく浮く場面もあったが修正した。「コースを狙いすぎてた部分はありました。今日初めて打者に対して投げて、甘いところに行くと簡単に持って行かれるというか、あらためて大学野球を知りました」と振り返った。満足度を問うと「50…くらいですね」と口にした。

自身にとって節目の日に、同じ岩手県出身の同世代、花巻東・佐々木麟太郎内野手(3年)が米スタンフォード大への進路決定会見を行った。

対戦経験はなく、面識もない。岩手大会開会式で「歩いているのを見たくらいです」という存在。とはいえ高校通算140本塁打の強打者を「同じ県なので、当たったらどう抑えるかを考えました」と、投手として意識はしていた。

自身の兄もプロ3年目での完全試合など、人並み外れたことを成し遂げてきている。麟太郎の選択をどう捉えたか、問いかけた。

「そうっすね、まぁ、なんだろ…新しい選択肢っていうか、あんまりこれまでにいないと思うんで。初めてのことができるのはいいことだなと思います。そういう選択肢もあるんだなと思います」

言葉の最後に、うれしそうな感情がちらっと交じった。自身も生まれ育った町を巣立ち、ここから人生を広げていく。その記念すべき第1歩となる、新天地での初投げだった。

「初めて大学でバッターに投げて、コントロールできる部分はできていたので。ばらつきを減らしていけばいい方に進んでいくのかなと思います」

不安もあった上京と大学野球。おぼろげながら道筋が見えたことに、ホッとしていた。【金子真仁】