阪神前川右京外野手(20)がレギュラー奪取へ勝負の甲子園ウイークに臨む。5日の楽天戦で、今年初めて甲子園で戦う5試合のオープン戦がスタート。両翼を争う森下翔太外野手(23)は侍ジャパンに選出され、シェルドン・ノイジー外野手(29)は右肘痛のため、楽天2連戦はともに不在になる。実戦13打席連続無安打と下降気味だが、ライバルのいぬ間に沖縄・宜野座キャンプ野手MVPが再び上昇気流をつかむ。

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ライバル不在を生かさない手はない。今年初めて甲子園で戦う5日楽天戦からの“ホーム5番勝負”を前に、前川が猛アピールを誓った。「毎日毎日が勝負だと思う。そういう気持ちは変わらないです」。

両翼を争うノイジーは右肘痛を発症して対外試合出場はまだ0。岡田監督は「(甲子園は)試合無理やろな」と早くても復帰は12日以降と見込んでいる。森下は侍ジャパンに招集され、チーム再合流は8日。この2人がいない楽天2連戦は、特に存在感を出す大きなチャンスになる。

「まだ結果が出てないのでちゃんと準備して入っていきたい。全体的にもっとちゃんとしていかないといけない。やるべきことをやらなきゃいけないのが一番」

岡田彰布監督(66)から沖縄・宜野座キャンプの野手MVPに選出され、2、3日の札幌遠征にも同行。だが2試合4打席とも快音を響かせられず、実戦は5試合13打席連続無安打が続く。キャンプでは両翼争いで抜け出したが、ここへきて森下も状態を上げており、もう1度ギアを入れ直す必要がある。「(ヒットが出ない理由は)自分の中で分かっている。ちゃんと状態を上げてやっていけるようにしたい」と打破するつもりだ。

5日からの楽天戦は、キャンプから継続している左翼守備に就く可能性が高い。だが、1軍の甲子園は初体験になる。最後にホームの左翼を守ったのは新人年の22年6月の2軍戦までさかのぼる。この先、本職の右翼ではなく左翼がメインになるかはチーム事情次第だが、背番号58も前向きだ。「幅を広げるためにもどこでもできたらいいなと思って準備していきたい」。

開幕までに甲子園で戦うオープン戦は10日巨人戦が最後。その後はセンバツで高校球児に明け渡し、甲子園に帰ってくるのは4月9日の開幕4カード目の広島戦になる。今回の5試合で甲子園特有の浜風にも対応し、左翼OKとなれば起用の幅も広がる。当然、森下が侍で活躍し、ノイジーも戻ってアピールを続ければ、前川の出番も削られる可能性がある。大事な甲子園5番勝負になる。【林亮佑】