阪神ドラフト5位の石黒佑弥投手(22=JR西日本)が凱旋(がいせん)登板でミラクル開幕1軍を狙う。愛知・江南市出身の右腕は、15日からの中日3連戦(バンテリンドーム)に登板予定。1回無失点でオープンデビューした、10日巨人戦(甲子園)に続く登板で岡田監督をうならせる意気込みだ。

「これを継続して、何回もいい結果を出して。1軍定着できるように頑張りたい」

巨人戦はドラフト6位右腕の津田淳哉投手(22=大経大)とともに1軍に呼ばれて1軍初登板。当日は新人紹介イベントがあり、お披露目の意味合いが強かったが、最速150キロを計測した直球にフォークなどを操り危なげなく3者凡退。驚いた岡田監督は「投げさせて良かったよ、ホンマに」と1軍同行を明言し、開幕戦力となる可能性を残した。リリーフ陣はゲラを筆頭に、岡留や石井、加治屋ら実力者がひしめく。キャンプは2軍で過ごしたが、巨人戦で発揮した“持ってる男ぶり”をもう1度発揮すれば、大まくりで開幕1軍をつかむチャンスがある。

この日はバンテリンドームで全体練習に参加。小学生の頃から中日戦の観戦などで訪れていた球場に初めて降り立った。「ちょっと不思議な感じです。すごくドームがきれいなので。『あ、ここで投げられるんだ』という新鮮な気持ちです」。当時の石黒少年は森野やブランコ、井端らに憧れたという。「自分もそういう夢見てもらえるような選手になれたら」。今度は夢を与える番になる。

マウンドに上がり感覚も確認。「フェンスが高いなと感じた」と球場の特性も頭に入れて投球する。「ベストはこの前みたいに3人で抑えること。できない時は0点で抑えて帰ってくることを目標に。なるべく長打がないように」。

たった1回のチャンスをものにした“持ってる男”は、19日からの福岡遠征2連戦(対ソフトバンク)への切符をつかめるか。22歳のダークホースが、重厚なブルペン陣に風穴を開けにいく。【波部俊之介】

◆石黒佑弥(いしぐろ・ゆうや)

◆生まれ 2001年(平13)6月20日生まれ、愛知県江南市出身。

◆球歴 藤里小1年から藤里スポーツ少年団パワーズで野球を始め、宮田中では同校の野球部に所属。星城では1年春からベンチ入りし、3年夏の愛知大会2回戦で石川昂を擁してセンバツで優勝した東邦にコールド勝ちして8強進出。JR西日本では3年目の22年から台頭し、2年連続都市対抗で先発した。

◆職歴 JR西日本ではJR可部線の下祇園駅で駅員を務めた。22年ドラフトでの指名漏れを経て、23年同5位で阪神入団。「駅に立っている時、何人かに声をかけていただきました」と笑顔。

◆座右の銘 ちりも積もれば山となる。実るほど頭の下がる稲穂かな。

◆好きなタイプ 俳優の永野芽郁。

◆趣味 アニメ鑑賞。

◆サイズ 身長180センチ、83キロ。右投げ右打ち。

◆給料 今季推定年俸は750万円。

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